寺院本堂は用途が変わらないことから長期利用が期待されてきた。かつての日本では古材を転用しながら使い修理や移築することで技術の継承と蓄積を行い建物を遺すことで先人の想いを受け継いできた。一方、建築の近代化に伴い1960年から70年代頃まで非木造本堂が全国的に普及した反動で修理せずに構造上の問題を放置した古い本堂がみられるようになった。 環境問題が顕在化する現代だからこそ、今後は本堂を建替える選択ではなく修理を選択する寺院が増えることも重要であり、本堂の修理を通じて長く大切に使い続ける建築の文化の裾野を各地で広げ、地域の技術継承等、寺院本堂の修理の受け皿を各地で再構築することも期待される。
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