研究課題/領域番号 |
24560768
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉田 友彦 立命館大学, 政策科学部, 教授 (40283494)
|
研究分担者 |
石原 一彦 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80388082)
高村 学人 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80302785)
式 王美子 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (10512725)
齋藤 雪彦 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (80334481)
轟 慎一 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (80295633)
橋本 清勇 広島国際大学, 工学部, 准教授 (50273470)
|
キーワード | 琵琶湖 / 郊外 / 空間 / 社会 / 持続性 |
研究概要 |
本研究は、琵琶湖東部湖岸域(近江八幡市および東近江市)を事例とし、当該地域の歴史性と近代性の両面に着目しつつ、「郊外地域を持続的にする条件は何か?」を主たる研究上の問いとして設定し、空間変容と社会関係の2つの側面からこの課題に取り組み、これによって「持続的な郊外」を可能にする条件について考察することを目的とするものである。 平成25年度は、研究の第一段階として年齢別人口数のばらつきを指標化した「ジニ係数」を用いて、国勢調査小地域GISデータによる人口構造の地理分析を行ったが、平成25年度後半はさらに空間変容と社会関係の双方の視点からより詳細な調査を行うため、アンケート票の確定作業を行った。これらの過程を経て、年齢別人口数バランスが良好な理由を探るという観点から調査対象地区の絞り込みを行い、「ジニ係数」から見る年齢バランスが良好な「良好地区」と「平均地区」の2群を選定し、それぞれ250票程度の配布計画を立てた。 アンケートはそれぞれの地区の自宅ポストへ投函し、郵送回収法により行った。2014年1月下旬に配布し、料金受取人払の2月末日までの回収とした。配布に先立つ2013年12月中旬には、全ての自治会長に調査内容を予告通知し、回覧板による町内通知を依頼するとともに、個別に主旨説明を行った。 各地区の結果を見ると、年齢バランス「良好地区」と「平均地区」はそれぞれ回収率約44%から45%となり、100を超える世帯から回答を得た。 これらの作業により、当該地域における持続性の要因分析をするための準備作業を終え、データクリーニングおよびコーディング作業を終えて分析を開始しつつある。平成26年3月には全体研究会を行い、滋賀県内集落の持続可能性についての研究交流および情報交換を重ねる中で、調査票分析結果の速報とその解釈のための議論、および研究のとりまとめの方法性についての議論を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、国勢調査小地域データによる5歳年齢階級別人口数のバランスの良さを指標化し、「良好地区」と「平均地区」を抽出する作業まで到達した。GIS分析により「良好地区」と「平均地区」の双方の特徴を検討するとともに、地勢の状況、営農状況、農業を含めた一般就業状況、家族状況等を把握するためのアンケート調査を実施した。アンケート票の回収は44%から45%となっており、統計的検定を交えて分析と考察を開始したところである。 「良好地区」と「平均地区」のクロス分析を意図したこの調査では、交付申請時に持続性の要因として提示した「高度経済成長期の抑制、空間的緩衝性、自治意識の伝統、年齢階層の混合性、農村集落の持続性」のそれぞれを内包する調査項目を設定しており、年齢階層の混合性の要因をさらに深く掘り下げるとともに、これと相関する他の要因についても総合的に調査することができるものとした。 以上より、最終年度において、持続性の要因に関する議論を進めていく条件が整ったため、おおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度において対象地域分析のための標本データ収集が達成されたので、平成26年度以降、これを用いた統計分析を進める。分析にあたっては、年齢別人口数のバランスが良好な地区と平均的な地区の2群に分けてクロス集計を行うこととなる。研究組織内において、「居住開始時期別に分けて分析することも必要である」との指摘があったため、これを含めた多面的な分析を行い、有意な結果の探究を進める。平成26年には日本建築学会や紀要『政策科学』等への具体的な研究成果報告を予定しており、これに向けて執筆作業を進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、主に研究代表者によるアンケート調査の手配等に研究作業が集中し、研究組織全体の交流頻度がやや落ちたため、研究費の執行が当初の想定よりも少なくなった。 平成26年度においては、25年度の成果をもとに学会発表等の場における研究交流を行いつつ、そこで得られた知見をもとにして研究とりまとめの方向性について再検討する。具体的には、神戸大学における日本建築学会大会学術講演、湖東地域関連自治体等への研究報告などを実施し、その出張旅費等に使用する。
|