研究課題
本研究は、琵琶湖東部湖岸域(近江八幡市および東近江市)を事例とし、当該地域の歴史性と近代性の両面に着目しつつ、「郊外地域を持続的にする条件は何か?」を主たる研究上の問いとして設定し、空間変容と社会関係の2つの側面からこの課題に取り組み、これによって「持続的な郊外」を可能にする条件について考察することを目的とした。2014(平成26)年度は、2014(平成26)年1月下旬から配布・収集したアンケート調査の結果を分析し、年齢バランスの良好地区(X町)と平均地区(A、B、C、D、E町)の相違をクロス分析によって明らかにした。ごく初期の単純集計等ができつつあった3月に研究会を開催し、主たる分析の方向性について議論を行いつつ、平成26年度中に最終的な成果を学術誌に投稿・発表した。年齢バランス良好地区の特徴は何だったのか、本研究から得られた知見をより一般的な言い方で整理すれば、以下のようになる。第1に、住宅地全体として、土地の規模の点で余裕のある空間構成を持っていたこと。X町の場合、周辺農地や工場等の小・中規模の余剰地の存在を活用しつつ土地利用を住宅地に転用して、新規転入層を受け入れてきた。先祖代々というわけではなく、自分の代から住み始めた層が多いことが平均的な集落との明確な違いとなっている。第2に、近隣から遠方までの多様な勤務地を選択可能にする社会経済上の条件が整っていること。社会経済上の条件とは、端的に言えば「職場がある」ことである。研究当初、X町では近隣の通勤者が多いのではないかと考えていたが、結果としては近隣と遠方の双方の通勤者が多いということがわかった。特に、自分の代から転入した新住民は多様な就業形態をとっている。
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政策科学
巻: 22-1 ページ: pp.11-22