研究課題/領域番号 |
24560771
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
吉村 英祐 大阪工業大学, 工学部, 教授 (50167011)
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研究分担者 |
木多 彩子 摂南大学, 理工学部, 教授 (90330357)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 買物弱者 / 買物支援 / 通学路の安全 / 防犯資源 / 犯罪不安 / 地域施設 / 過疎地 |
研究実績の概要 |
1.平成24年度に実施した調査結果の詳細分析:将来の日本が抱えることになる問題にすでに直面している過疎地の一つである三重県津市美杉町を対象に、高齢者の外出行動の実態を調査した結果を詳細に分析し、超高齢社会における高齢者の自主的生活を支援する制度や地域コミュニティのありかたを考察し、都市部での買い物弱者支援策を提案する手がかりを得た。 2.平成26年度に実施した調査結果:コンビニが地域の買い物支援、犯罪の抑制、犯罪不安の低減などの役割を担う安全資源となっていることに着目し、大阪市内四区(中央区、平野区、旭区、此花区)のコンビニの分布を調査し、コンビニ店舗を中心に半径400mと300mの円を描き、その重なりを視覚化して、調査地区の特性との関係を考察した。結果を以下に示す。①住宅地域では広範囲コンビニの各店舗が各住宅の買い物距離内に立地している ②中央区はオフィス街であるため、夜間人口よりも多い昼間人口に比例してコンビニが密集分布している ③集客の多い駅周辺にコンビニが集中している ④コンビニが相対的に少ない場所には、人通りが少ない、商圏口人口が少ないなどの共通点見出される ⑤400m圏外にも府営住宅、市営住宅が数多くあり、その部分に買い物弱者生まれている可能性がある 3.平成24~26年度の研究成果の発表:研究成果の中核部分を日本建築学会論文集に投稿し、2015年2月号、同5月号に掲載された。 4.研究成果のとりまとめ:3年間の研究成果をとりまとめた。平成27年度中に報告書を作成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請に記載の研究目的は、本格的な少子高齢社会を迎えるなかで、高齢者の生活利便性や市街地の自然監視性の低下が問題となっていることをふまえ、街路に対する自然監視性、夜間の照明、緊急対応機能などを備えた小規模店舗等を防犯資源としてまちづくりの中に位置付け、高齢者の生活利便性と自然監視性の向上が両立する新たな施設混在型のまちづくりの可能性を包括的に実証し、「歩いて暮らせる+安全・安心な」まちづくりの手法を提案することであった。 3年間の研究では、大阪市旭区、大阪府守口市、三重県津市美杉町の3か所の調査フィールドを確保することができたため、都市部と過疎地の買物行動の比較調査、通学路の不安感とその要因などについて、非常に精度の高い調査が可能になり、貴重な研究成果が得られた。また、これらの研究成果をまとめた6本の査読付論文が日本建築学会論文集や地域施設計画研究に掲載された。特筆すべきは、守口市教育委員会の協力を得て市立小学校の通学路に対する保護者の不安感の調査を実施し、その成果を地域に還元できたことである。 以上のように、3年間の研究成果は、当初想定していた以上のものであるため、「当初の計画以上に進展している」と判断します。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究期間は平成24~26年度であったが、主要な調査を終えており、終了した調査の分析も終えているが、下記の理由による調査補助事業期間延長申請が承認された。最終年度になる平成27年度は、下記に記載の使用計画に基づき、助成金を適切に執行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
[理由1]補助事業期間内に審査終了・掲載決定が間に合わなかった研究成果論文が生じたため、登載料等の未執行が生じた。 [理由2]研究代表者が予定していた調査の一部が実施できない状況が生じたため、調査費用の一部が未執行となった。 [理由3]以上の2項目により最終年度の研究成果が確定できないため、研究分担者も最終成果のとりまとめができず、また配布用報告書の印刷・製本ができない状況にある。
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次年度使用額の使用計画 |
以下の目的で支出予定である。 ①平成27年5月に日本建築学会計画系論文集に掲載された論文の登載料・別刷代の支払い ②買い物支援を行っている自治体・組織に対する調査費用 ③研究成果報告書の印刷・製本代 ④調査結果のとりまとめに必要な消耗品
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備考 |
補助事業期間延長承認:平成27年3月20日
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