研究課題/領域番号 |
24560774
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
糟谷 佐紀 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (90411876)
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研究分担者 |
室崎 千重 奈良女子大学, その他部局等, 講師 (60426541)
平山 洋介 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70212173)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 応急仮設住宅のバリアフリー / 被災要援護者 |
研究概要 |
本研究の目的は、被災要援護者の住環境に着目し、避難所や仮設住宅での問題点を明らかにし、安全で快適な避難所、応急仮設住宅の仕様提案を行うことである。 調査は大きく分けて2つ行った。1つ目は応急仮設住宅に暮らす要援護者に対して、住環境に関するヒアリング調査と実測調査、2つ目は応急仮設住宅を管理する立場の行政へのヒアリング調査である。避難所の問題点については話の中で出てきたが、それぞれの避難所で状況が異なり、一つの意見としてまとめることは難しいと感じた。 被災要援護者への調査では、3カ所の応急仮設住宅において行った。どこに要援護者が暮らしているという把握は難しく、玄関に置かれた杖などを頼りにその場で依頼して承諾を得た16世帯に対して行った。応急仮設住宅はメーカーによって間取りや仕様が異なるが、問題となったように寒さ対策、カビ対策など日常生活における困難点が挙げられた。高齢者や障害者にとっては水回りの段差と狭さが大きな問題となっていた。手すり設置や福祉用具の導入など、行政の対応も行われていたが、万全ではない。最初から全住戸に対して対応しておいた方が良い点と、入居後に居住者の身体機能に応じて対応した方が良い点との2つを明らかにすることができた。 行政へのヒアリングの中で、宮城県石巻圏域が行った応急仮設住宅のバリアフリー化対応が、先述の入居後の個別対応として、素晴らしい取り組みであり、今後の災害時への備えとして参考になると感じた。石巻圏域では、まずリハ専門職を中心とした協力体制を構築、応急仮設住宅の仕様調査、居住者の身体機能のアセスメントを行った上で、個々のニーズに応じた住宅改修・福祉用具の導入などを行った。今回は応急仮設住宅の標準設計・仕様があっての対応であったため、すべてを入居後に行うことになった。しかし、ここでも標準設計・仕様としておくこと、入居後に対応することが明確にされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
夏に行ったヒアリング調査の内容を整理したが、詳細な分析が行えておらず、2012年度に学会発表や論文発表ができなかった。実父の発病と死去により、実働時間が確保できなかったことが最大の要因である。 また、障害者に焦点をあててヒアリングを行うことを目的としていたが、障害者支援団体において把握している障害者も少数であり、ヒアリング対象者の多くが高齢者となってしまった。しかし高齢者の中には身体のいずれかに不調を訴える人が多く、障害者手帳を有する障害者ではないにしろ、住環境に求めるものとして共通する部分も多かった。 今後の恒久住宅への移行に関しては、自治体や国の政策からも見えてこず、まだ把握ができていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に行ったヒアリング調査の詳細な分析を行い、論文発表、学会発表を行う。夏に行われる日本福祉のまちづくり学会では、宮城県石巻圏域の応急仮設住宅への対応について発表することが決定している。 初年度に引き続いて仮設住宅の調査を行う。昨年は行けなかった特徴的な仮設住宅(プレハブ、ハウスメーカー以外のもの)の住環境調査を行う。 仮設住宅以外を選択した要援護者へのヒアリング調査を行う。しかし、これに対しては行政や支援団体の協力が必要であること、すでに転居してしまっていることなどから、調査対象者を探し当てることが難しいと考える。 恒久住宅への移行についての自治体の考えをヒアリング調査により明らかにする。これに関しては、国や自治体の施策や方針が具体的に定まっていないため、明確に把握することは難しいと考える。調査した応急仮設住宅のある自治体にこだわらず、施策に動きのある自治体に対して行うこととする。 すでに恒久住宅へ移動した要援護者に対してヒアリング調査を行う。これも先述のように調査対象者を探し当てることが難しいと予測される。少数でも良いので意見を聞くことができればと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
現地での調査にかかる交通費、宿泊費、レンタカー費が、研究費の8割を占める。調査計画を早く立て、安い航空券を取得するよう努力する。
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