研究課題/領域番号 |
24560775
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研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
齊木 崇人 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (90195967)
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研究分担者 |
浦山 隆一 富山国際大学, 現代社会学部, 教授 (10460338)
渋谷 鎮明 中部大学, 国際関係学部, 教授 (60252748)
鎌田 誠史 有明工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (70512557)
上原 三知 信州大学, 農学部, 助教 (40412093)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 集落空間 / 農村計画 / リスクリダクション / 建築学 / 限界集落 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本の生きつづけてきた小規模集落(高齢化率40%以上、50世帯以下)には、震災・災害に対する備え「リスクリダクション(危険低減)」の叡智があると仮説し、その仕組みと集落の空間構成を把握し、「リスクリダクション」の叡智を「営み」「場所」「かたち」の関係性から明らかにすることを通して、小規模集落の「環境構築」の構造を明らかにする事を目的としてきた。 初めの研究は、兵庫県香美町高坂集落を事例に小規模集落の村づくりの取り組みであり、次いでの研究は東日本大震災被害と影響を受けた茨城県の集落の立地選定と持続の仕組みに見るリスクリダクションに関する研究である。 両者の比較考察を通して、様々な自然災害や社会の経済格差の中で、自然生態と調和しつつ生き続けている小規模集落の立地選定に見るリスクリダクションの叡智を再度把握する事ができた。 加えて、近代以降、それぞれの時代の科学や技術力で未来を計画してきた私たちは、その都度、予測不可能な様々な災害やリスクに遭遇してきた。そのリスクは社会が進歩すればするほど増大してきたと言ってよい。しかし伝統的な集落では立地条件に深く制御され、古いと言われるコミュニティが多様なリスクに対応して生きてきた。そのコミュニティが今生まれ変わりつつある。新しい人々を受け入れて長期的なリスクへの対応が始まっている。新しい協同のあり方や共に助け合う仕組みの兆しが生まれつつある。その兆しは行政が経済的支援を続ける事でリスクを回避する事とは対照的に、コミュニティ自らが災害や危機を察知し日常の対応の延長として機敏に対処している事を学ぶ事ができる。 今後の研究課題として、集落の立地選定と地域コミュニティの運営から見た持続的環境共存の構造を明らかにしていきたい。
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