研究課題/領域番号 |
24560779
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研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
井上 由起子 日本社会事業大学, その他の研究科, 教授 (40370952)
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研究分担者 |
矢田 尚子 日本大学, 法学部, 准教授 (40383195)
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キーワード | サービス付き高齢者向け住宅 / 状況把握と安否確認 / サービス付帯 / 家賃補助 / 低所得者 |
研究概要 |
サービス付き高齢者向け住宅の適切な普及ならびに居住の安定化を目的に、2013年度は以下の調査を実施し、成果の一部を公表した。 調査1.サービス付き高齢者向け住宅についての事例調査を全国10か所で実施し、各事例を事業開始にいたるプロセス、サービス付帯の特性(機能とサービス対価の支払い方法)、住まいの資源という3つの軸で整理した。そのうえで地域居住を支えるデザインとして、アレクサンダーのパタンランゲージの手法を参考に、14の視点で整理した。この二つの成果を中心に、2012年度の成果を加えて、成果を書籍として出版した。 調査2.2012年度において、サービス付き高齢者向け住宅における契約書やパンフレット等の調査を実施した。その結果、事業者が消費者に提供する契約書を含めた資料の多くで、医療・介護との連携をうたうことで、消費者に安心を与えるものが目についた。しかし、実際にどこまでの安心を保証してのものなのかは、資料からは明らかではない。そこで、2013年度は、医療連携や看取り対応のサービスに焦点をあて、文献調査及び視察調査、及びインタビュー調査を実施した。その成果の一部については、既に雑誌論文で公表した。 調査3.事業者の安定経営と利用者の支払能力の両立に向けた課題の抽出を目的に、普遍的な家賃補助制度のあるオランダとデンマークの高齢者住宅の事業モデル、日本と同様の持ち家政策をとり家賃補助は対象を限定しているカナダとオーストラリアの高齢者住宅の事業モデルについて、2012年度までの視察調査をふまえたうえで、文献調査を行い、その概要をとりまとめた。結果を高齢者ケア系の新聞に連載した。一方、国内での実態把握については、別事業費で実施した全国悉皆調査表に本研究で必要な質問項目を加え、アンケート調査を実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2013年度は、以下の3つの調査を実施予定であった。 1.「地域包括ケアを前提とした居住機能と拠点機能の複合連携のあり方の抽出」については、2012年度の成果を踏まえ、2013年度は国内外の事例調査を重ねながら分析フレームの修正と計画上の留意点を抽出する予定であったが、予定どおりに実施し、2014年度に予定していた事例集の作成を出版というかたちで公表するに至った。 2.「賃貸借契約ならびにサービス契約の法的側面の課題の抽出」については、2013年度に延期していたドイツでの現地調査を研究分担者の健康上の理由から文献調査に切り替えた。しかしながら、サービス契約等の課題抽出という当初の目的は、ドイツにおいて法改正がなされて数年が経過したことで、コンメンタールをはじめ数多くの文献が公表され、それを入手できたことから、概ね予定どおり最終成果物を公表することができると考えている。 3.「事業の安定経営と利用者の支払能力の両立に向けた課題の抽出」については、諸外国の状況についての整理を予定どおり終えた。国内の実態把握についてはデータ収集を終えた段階である。 以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
調査1については書籍の出版をもって前倒しで2013年度に終了した。よって、2014年度は調査2と調査3のとりまとめを行う。 調査2については、これまでの成果を2014年度にとりまとめを行い、いくつかの論文等にまとめて、公表する予定である。 調査3については、高齢者住宅に関する全国悉皆調査の結果を利用者特性(具体的には住宅の所有形態、所得階層、ケアサービスの必要度)の視点から分析し、高齢者住宅のエリア別の特性を抽出し、低所得者向けの住まい確保のための基礎的データの抽出を行う。 なお調査2については分担研究者が海外調査を実施予定であったが、健康上の理由から渡航が困難となったため文献調査とインターネット調査で対応することに変更した。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者の海外視察が健康上の理由による中止となったため 調査3の分析を外部の分析会社に委託する
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