研究実績の概要 |
サービス付き高齢者向け住宅の適切な普及ならびに居住の安定化を目的に、2014年度は以下の調査を実施し、成果の一部を公表した。 調査1.地域包括ケアを前提とした居住機能と拠点機能の複合連携のあり方:今後サ付き住宅で急速に普及が見込まれる定期巡回随時対応型訪問介護看護について6事例を対象に詳細調査を実施した。サービス提供圏を明らかにするとともに、そのコントロールにあたっては、訪問拠点の複数化、退院時の利用拡大、オペレーター兼務要件の活用、サ付き住宅の併設等の選択肢が示唆された。結果は査読付き論文として介護経営学会に発表した。 調査2.賃貸借契約ならびにサービス契約の法的側面の課題:研究分担者の出産と重なったため、それまでの成果を踏まえて、高齢者向け住まいのサービス契約の特質等からくる法的問題点の指摘と課題につき、雑誌等に発表した。 調査3.事業者の安定経営と利用者の支払い能力の両立に向けた課題の抽出:サービス付き高齢者向け住宅登録システムデータ(2013年 登録物件3,765件)を用いて、整備特性を費用負担とエリアの観点から整理した。次いで、全国のサ付き住宅事業者に対してアンケート調査(有効回答数1,537件、有効回答率53.5%)を実施し、生活保護受給率を変数に有意差検定を行った。変数に生活保護受給者率、群の区分に各特性を用いて有意差検定を行ったところ、「エリア」、価格帯」、「住戸数」、「最小住戸面積」、「住戸内設備」、「居宅介護事業所」、「診療所」、「訪問看護」で有意な関係を示した一方、「住宅スタッフ」、「通所介護」、「訪問介護」、「小規模多機能」、「定期巡回随時対応」では有意な関係を認めなかった。利用者特性については「想定する身体状況」、「対応可能な認知症の程度」、「平均要介護度」、「要医療者割合」、「看取りの状況」で有意な関係を示した。成果は査読付き論文として投稿中である。
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