研究課題/領域番号 |
24560781
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
片木 篤 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70204419)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | オリンピック / 都市計画 / ソウル |
研究実績の概要 |
本研究「オリンピックを契機とした都市改造の分析-東京・ソウル・北京の事例分析と国際比較」は、高度経済成長期にオリンピックを開催した東京・ソウル・北京を取り上げ、それぞれの都市におけるオリンピックを契機とした都市改造の計画・実施を明らかにしようとするもので、平成26年度は、過去2年間に続いて、ソウル・オリンピック(1988年)の調査分析を、研究代表者・片木篤と博士課程後期課程3年・朴光賢の2名で実施した。 本年度の実績としては、都市スケールではオリンピック競技施設とそれが建つ公園・緑地の立地を見るため、1960-80年代ソウルの公園・緑地計画の変遷を明らかにし、「ソウル都市計画用途地域における緑地地域の変遷について」(日本建築学会計画系論文集第80巻第703号、2015年7月、掲載決定)という学術論文にまとめた。また総合運動場と国立競技場が立地するジャムシル地区開発について、特にその大街区と住棟配置の特徴を明らかにし、「ソウル・ジャムシル地区開発に関する研究-ジャムシル地区開発総合計画(1970年)からジャムシル地区開発総合基本計画(1974年)への計画変更について」(日本都市計画学会論文集(一般研究論文)第50巻第1号、2015年4月、掲載決定)という学術論文にまとめた。オリンピック競技施設については、主競技場を擁するジャムシル総合運動場を取り上げ、その計画の変遷を分析し、「ソウルオリンピック施設に関する研究-ジャムシル総合運動場計画の変遷について」(日本建築学会学術講演梗概集(建築歴史・意匠)、2014年9月、pp.353-354)を口頭発表した。現在、既に行ったソウルの道路網、公園・緑地網計画を下敷きにして、ソウルオリンピック全競技施設の配置計画の変遷を分析しており、日本都市計画学会大会論文として投稿する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、最初の2年間にソウルオリンピックを契機とした都市改造の計画・実施を明らかにする計画であったが、ソウルの都市計画に関わる図面・文書の収集と整理に想定以上の時間を要したこと、研究協力者が眼病手術を受けたこともあって、3年間かけても、ソウルオリンピックを契機とした都市-地区-建築スケールの計画・実施の全貌を明らかにすることはできなかった。本年度になってオリンピック競技施設、選手村といった地区-建築スケールの分析を開始することができたが、それをまとめ切れていないのが現状である。
|
今後の研究の推進方策 |
ソウルのケーススタディは、平成27年度中に概ね終了する計画である。 北京のオリンピック関連、都市計画関連の出版された図面・文書(英語・中国語)は既に入手し、より詳細な原図等の資料収集を開始したが、東京やソウルと同程度の資料を閲覧・入手することが難しいこと、それに伴い北京のケーススタディが、東京やソウルと比較可能なものになりそうにないことが、明らかになった。平成27年度1年かけて、引き続き北京の資料収集を続けるが、こちらが想定している資料が入手できない場合は、北京の都市改造の分析を学術論文としてまとめることを断念せざるを得ない。
|