研究課題/領域番号 |
24560784
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
足立 裕司 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60116184)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Arts and Crafts Movement / 武田五一 / 日欧文化交流 / W.Morris / 歴史的建造物保存 |
研究概要 |
当該研究は日本におけるアーツ・アンド・クラフツ運動の受容を武田五一という建築家を通じて考察することにあるが、その幅広い運動の展開を理解するために、基礎的研究書として定評のあるG. Nailor"The Arts and Crafts Movement",F.Maccarthy "William Morris: A Life for Our Time"他の既往研究書の内容を検討し、その実態を把握することに努めた。初年度は、この基礎的作業に加えて英国に渡航し、実地調査と資料収集する予定であったが、大学内の歴史的建造物の改修指導という予定にない業務ができたために、年度を1月越えて実施せざるをえなかった。この現地調査については、次年度に集中して行う予定である。 この他、武田五一については、神戸大学所蔵の旧蔵品と全国に残る史料の再調査を行い、デジタル情報として整理する作業を行っている。この作業のためにブック・スキャナー他の備品を購入した。作業を通じて、武田五一の第1回英国渡航時の足跡を再検討し、W.Crain等の運動関係者との接触についての影響の考察し、運動に関係する建物の見学やアーツ・アンド・クラフツ運動関連資料の購入などから、武田五一の関心の度合いについての検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地Arts and Crafts Movementイギリスでの調査が進んでいないが、日本での作業は進みつつある。広範にわたるアーツ・アンド・クラフツ運動の把握ができ、特にこれまで看過されてきたモリスやアーツ・アンド・クラフツ運動の目指した歴史的環境保全の理念や建造物保存の考え方について研究することができた。今後は具体的な影響関係について日欧の比較作業に移行することができると考えている。初年度の基礎的作業のうち、6割程度は終えることができたので、今後は研究を加速することができると考えている。初年度については、論文等の成果はないが基礎的作業に費やしたためであり、2年度目に成果として公表していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
イギリスでの現地調査を行い、文献からの理解が正しいかどうかを検証しつつ、まだ手薄となっている歴史的建造物の修復に対するモリスの主張を理解し、武田五一の手法等との比較を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
史料撮影用のカラーチャートや照明設備等、若干の設備整備が必要であるが、大旨整っている。今後は日本での資料整備を進める予定である。現地調査を複数回行い資料収集、情報交換を行うので旅費が必要となる他、旧蔵品の整理に伴う消耗品も研究にあわせて購入する必要がある。
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