研究課題/領域番号 |
24560789
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
伊藤 大介 東海大学, 国際文化学部, 教授 (60203147)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | モダニズム建築 / 教会建築 / フィンランド / 地域性 |
研究概要 |
「研究の目的」に掲げた20世紀モダニズム建築の再検討の視点に基づき、なかでも各国固有の事情や地域性に基づく幅広い発想の産物としてこれを位置づけるために、「フィンランド」という基本条件を重視して研究に取り組んだ。 「平成24年度の実施計画」に照らして、まず国内では基礎文献の再読み込みによる研究視点の再構築を行ったが、その過程で当初の予定になかった東京他での文献資料の追加調査を2回行った。また、収集済みの画像データに関しても、基礎的な整理がより多く必要であることがわかり、必要な機器の整備を行った上で研究補助員によってそれを遂行した。 国外では、現地フィンランドでの調査を当初計画どおり1回実施した。ヘルシンキの建築博物館で全体資料収集を行った上で、3年間で検証する予定の10の教会建築のうち、(2)ヘルシンキ・テーレ地区の教会、(8)タンペレのカレヴァ教会、(9)ヘルシンキのテンペリアウキオ教会、(10)ヘルシンキ・ミュールマキ地区の教会 の4つの教会について現地を訪れて調査を実施した。当初予定にあった(7)オタニエミ学生村の礼拝堂 の調査を回避して、(8)に代えた理由は、現地での積雪状態などの諸条件を考慮したためである。ただし(2)については、次年度以降の追加現地調査が一部必要である。今回現地調査を行った教会については、建築博物館でも各種図面などの基本資料の調査も事前に行った。 これらは、20世紀フィンランド建築で群を抜いた世界的評価を受けている建築家アルヴァー・アールトの作品に比較すれば、従来注目されることの少なかった建築である。今後の調査・研究を通じて、10の実例を適切に位置づけることによって、アールトの作家研究からではなし得ない、20世紀モダニズム建築の大きな流れの特質を浮かび上がらせてゆきたい。今年度は、そのための研究の一部をなしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内での研究では、国内出張を伴う追加文献調査が必要となり、また画像資料整理においても当初予定以上に研究補助員を利用した。 国外での研究では、当初予定の現地調査対象を一部変更した。 ただし、これらは想定していた範囲内での変更と考えており、全体としてはほぼ予定どおり研究が進行しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、当初予定したとおり、1年目と同じ視点と方法を基本的に踏襲して、国内での文献資料調査、フィンランドでの資料調査と現地建築調査を行い、また研究補助員による画像資料データの収集整理作業も継続してゆく予定でいる。そして、最終年度には、その研究成果を対外的に発表してゆきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の次年度使用額が残った理由は、平成24年度中の予定だった画像収集整理に関連する一部の機器(パソコンやカメラなど)の整備が遅れたためである。平成25年度はこれらを速やかに整備して、研究の精度をさらに高めてゆく。 その上で、上にも記した予定に沿って、文献資料調査のための国内旅費、フィンランドでの資料調査と現地建築調査のための外国旅費、また資料整理の研究補助員雇用のための謝金などを中心に、支出してゆく予定でいる。
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