本研究は、主に文献研究と現地調査の方法によって、北欧における建築近代化とその成果としてのモダニズム建築について論じるものである。特に20世紀フィンランドの教会建築に焦点を当てながら、「北欧モダニズム」の成立過程とその特質を検証している。 北欧では、モダニズム建築の一般的特徴としての「国際性」とともに、「地域性」も付与された。また建築様式上の発展に加えて、「自然との一体性」というフィンランド的特質も獲得された。そして遂には、宗教を超えて人々の心を支える「社会的公共財」としての役割も果たすに至ったことが、この研究で明らかになった。
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