本研究は、近世以前の土地測量に使われていた「間(ケン)」が中世を通じて短くなったという歴史を利用し、中世から継続する港湾都市の市街地で、市街地の規模を実測して、その規模がいつの時代の1間寸法(測地尺)を使って計画されたと考えれば正しいのかを分析し、見出された測地尺から造成時期を推定するものである。およそ7尺から6尺6寸は鎌倉時代から室町時代前半、6尺5寸が応仁の乱から近世初頭、それ以下は江戸時代の測地尺として推定した。鞆の浦では古代から近代までの変遷を明らかにし、尾道では鎌倉時代の中心街区の位置を推定し、杵築市では中世城郭が近世の城下町に影響したことを見出した。
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