本研究は、北海道の建築史、住宅史を「通史」として捉えることを可能とするための基礎的研究の一つである。具体的には、北海道における擦文文化・続縄文文化・縄文文化における住居の実相を明らかにする研究の一手法として、近代に実際に建築された竪穴住居(トイチセ)の建築者・居住者からの聞き取り調査に関する記録・文献を再読し、同時に先史住居跡から実際の上屋復元を行い、さらに海外北方少数民族の復元竪穴住居を実測し、これらを総合して検討し、先史住居跡に残る資料との多くの類似性を明らかにすることが出来たと同時に旧来の想像の域を出なかった先史住居の一形態をより具体的な姿で提示することが出来た。
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