研究課題/領域番号 |
24560801
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
星野 敏春 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70157014)
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研究分担者 |
藤間 信久 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30219042)
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キーワード | 遷移金属シリサイドの磁性 / 第一原理計算 / 密度汎関数法(GGA) / FPKKR-Green関数法 / ハーフメタル |
研究概要 |
1.正6面体B20構造の2元合金XSi(X=Ti-Cu)とその化合物Fe(1-c)Co(c)Siの磁性の実験結果を統一的に説明した。H25年度は、そのハーフメタル性を電子状態密度(DOS)の計算で確かめた。本研究では、ポテンシャルをセルフコンシステントに簡単に求めるために、複素エネルギー面(Fermi分布の有限温度計算)にエネルギーを拡張した計算を行っている(Phys.Rev.B52(1995),11502)。1eV以上のバンドギャップをもつフルホイスラー規則合金(Mater. Trans.49(2008),1760)と違い、規則相の遷移金属シリサイドFe(1-c)Co(c)Siのバンドギャップは非常に小さいので(0.1~0.3eV)、電子状態密度のフェルミ分布(有限温度、T=800K~0.1eV))の計算では、固有状態のエネルギー準位のDOS(T=0Kでデルタ関数)が0.1eVの幅を持つローレンツ関数になるため、バンドギャップは消えてしまう。そこで、T=10~40K(~0.025eV)の計算で、バンドギャップの存在を確かめた。また、磁気モーメントのFerimi分布の温度依存性についても調べた。T=200~800Kの有限温度の計算から、T=0Kに外挿すれば、c=0.25、0.5の規則合金では、磁気モーメントが、それぞれ、1、2ボーア磁子の整数になる(ハーフメタル特性の確認)。 2.Fe(1-c)Co(c)Siの低濃度では格子歪効果が重要になる。2元合金中の不純物原子の格子歪効果を調べる準備として、単金属Fe(bcc)、Al(fcc)中の不純物原子周りの格子歪効果が扱えるように、本研究の不純物系用の第一原理計算プログラムの整備を行い、不純物原子まわりの格子歪と不純物原子による体積変化の実験結果を再現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.正6面体B20構造の2元合金XSi(X=Ti-Cu)とその化合物Fe(1-c)Co(c)Siの電気伝導性・磁性の実験結果を統一的に説明した。H24年度には、XSi(X=Ti-Cu)の電気伝導性・磁性を本研究の第一原理計算で統一的に説明した。また、Fe(1-c)Co(c)Siの磁気モーメントの濃度依存性の実験結果の基本的特徴を仮想遷移金属シリサイドの模型で統一的に説明した。さらに、Co濃度が増えると(c>0.25)、磁気モーメントが減りだすが、Co原子の析出効果を取り入れた計算で説明できた。H25年度は、その規則合金のハーフメタル特性を電子状態のエネルギー密度分布の計算(Fermi分布の温度を40Kとする計算)で確かめた。また、磁気モーメントの計算でも、Fermi分布の温度依存性を調べることにより、T=0に外挿すれば、整数になることを確かめた。 2.Fe(1-c)Co(c)Siの低濃度では格子歪効果が重要になる。2元合金中の不純物原子の格子歪効果を調べる準備として、Fe(bcc)、Al(fcc)金属中の不純物原子周りの格子歪効果が扱えるように、本研究の不純物系用の第一原理計算プログラムの整備を行い、それぞれの系の格子歪みの実験結果を再現した。
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今後の研究の推進方策 |
1.XSi(X=Ti-Cu),Fe(1-c)Co(c)Siの電気伝導性・磁性の基本的特徴の計算結果の論文を作成する。 2.Fe(1-c)Co(c)Siの低濃度の格子歪効果を扱えるように、不純物系計算プログラムを整備する。単金属Fe(bcc)、Al(fcc)中の不純物原子まわりの格子歪については、計算プログラムが整備でき、それどれの系の不純物原子周りの格子歪み、体積変化の計算がほぼ完了した。この成果についても、論文を作成する。 3.Mn(1-c)Fe(c)Siの電気伝導性・磁性の濃度依存性を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の国際学会発表を、H26年度に計画している。 国際学会の旅費が必要。
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