研究課題/領域番号 |
24560802
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
藤間 信久 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30219042)
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研究分担者 |
星野 敏春 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70157014)
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キーワード | アモルファス合金 / 第一原理計算 / ジルコニウム合金 / 局所構造 / 水素透過 |
研究概要 |
水素添加Ni-Zr-Nbアモルファス合金における、超伝導・クーロンブロッケードによる振動現象等の特異な電子輸送現象のメカニズムの解明を目的として、本年度は、同アモルファス合金の局所構造と構造中の水素原子の位置について第一原理計算を行い、以下の事項を明らかにした。 1. 正20面体クラスターを基本構造とするNi-Zr-Nbアモルファス合金の局所構造を提唱し、同クラスターを8個含む単位胞について、第一原理分子動力学計算を用いて構造の最適化を行った。種々のクラスター配向の比較の結果、正20面体の局所構造をよく保つ配向(アモルファス合金に相当)と、クラスター構造が面心立方的となり周期性をもつ結晶化に相当する配向とが現れることを明らかにした。また、これらの動径分布関数や配位数について実験結果との比較を行った。 2. 正20面体クラスターを基本構造とするN-Zr-Nbアモルファス合金の局所構造をモデル化した単位胞内の種々のサイトに、水素原子を配置し、同合金におけるエネルギー的に好ましい水素原子位置と、水素原子が周辺の構造へ与える影響について、第一原理分子動力学計算による構造最適により明らかにした。水素原子は、合金内の正4面体サイトより、正8面体サイトやそれに準じるサイトに位置した方が、エネルギー的に好ましい。また、水素原子を特定の正4面体サイトにおいた場合、1で述べた結晶化と同様の構造変化が起こり、水素原子によりアモルファス構造が周期性をもつ結晶へと変化する可能性があることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である、水素添加Ni-Zr-Nbアモルファス合金における、超伝導・クーロンブロッケードによる振動現象等の特異な電子輸送現象のメカニズムの解明に向けて、今年度は、その基本データとなる同アモルファス合金の局所構造と構造中の水素原子の位置について、第一原理計算を行い、局所構造モデルの提唱とその構造の最適化および構造中の水素原子位置の同定を行った。 これらの研究成果は、Journal of Applied Physics等で発表され、研究計画はおおむね順調に進捗しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
1.これまでに得られた、Ni-Zr-Nbアモルファス合金の局所構造を基にして、水素原子位置の同定と水素原子が構造に与える影響をより詳しく探求し、同合金中を水素原子が透過していくもっともらしい経路について明らかにしていく。 2.同合金の局所構造発現のメカニズムについて、特に少数元素であるNbの役割について、相互作用エネルギーの立場から明らかにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の発表を平成26年度開催のISPMA13で行うこととしたため。 2014年9月にプラハ(チェコ)で開催されるISPMA13で研究成果を発表するための旅費として使用する。
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