研究概要 |
今年度は、過冷却液体領域での鍛造に適した材料組成の検討を行った。過去の(Fe, Co, Ni)-半金属系や(Fe, Co, Ni)-遷移金属系金属ガラスのデータを詳細に検討し、広い過冷却液体領域を有し、かつ良好な軟磁気特性を示す合金系として、(Co, Fe)-(Nb, Zr)-B系、(Co, Fe)-(Ta, Nb)-B系、(Fe, Co)-B-Si-Nb系を候補として選定した。これらの熱分析を行い、過冷却液体が結晶化する際の潜伏時間を評価した。 温度一定で保持した際の結晶化の潜伏時間を実測するのは時間がかかるため、より簡単な方法で潜伏時間を推定することを試みた。まず複数の昇温速度で加熱した際の熱分析のデータから、温度一定で保持した際の結晶化の潜伏時間を推定した。続いて、熱分析装置で等温保持を行い、結晶化の潜伏時間を実測し、比較検討を行った。その結果、推定値は実測値の1/10程度になってしまうが、おおよその目安となる値が得られることが確認できた。 上記の結果を踏まえて、各合金の過冷却液体の結晶化の潜伏時間を推定した結果、Co40Fe22Nb8-xZrxB30 (x = 2, 4), Co23Fe40Nb5.5B31.5などが長い潜伏時間を有し、過冷却液体領域での鍛造に適していることが分かった。またこれらの合金は、飽和磁化はやや低いものの、保磁力が低く、良好な軟磁気特性を示すことが確認できた。 また、圧縮試験機を用いた鍛造の基礎的検討として、試料の加熱方法について検討を行った。検討の結果、急速加熱が可能なハロゲンランプを用いた加熱方法を採用することとし、ランプや試料の取り付け治具等の設計を行った。
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