Tsai型正20面体クラスター中の希土類正20面体上の局在スピンの振る舞いを調べる目的で、カドミウム-希土類近似結晶の磁気特性を調べた。その結果、ほとんどの化合物で反強磁性転移を観測し、その転移点はde Gennes因子で良くスケールできること、したがってRKKY相互作用でよく記述できることが分かった。また、いずれの化合物においても、磁化過程において反強磁性体に特徴的なメタ磁性転移が観測され、また、メタ磁性転移が顕著なヒステリシスを伴っていることから、基底状態においては複数の磁気秩序状態が縮退していることが判明した。この結果は、正20面体スピンクラスターにおける幾何学的フラストレーションの存在を示唆しいている。また、カドミウム系以外で新たに金系の近似結晶の磁気特性も調べたところ、新たに強磁性転移、リエントラントスピングラス転移が見いだされ、その詳細を明らかにすることが今後の課題となっている。
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