研究実績の概要 |
ここには、最終年度に実施した研究成果を中心に記載する;
本研究課題において狙ったことは、巨視的な測定である磁化測定からの情報を解析し、本研究の対象物質の電子状態についての情報を入手すること、及び、微視的な測定手法から、対象物質の電子状態についての情報を入手し、物質を構成しているセリウムCeとニッケルNiの 電子状態の変化を捉えることにある(Gdの電子状態は微視的視点・手法から調べるが、基本的には変化はないものと推測される)。 今年度に得られた成果の一つとして、前回採択された課題との重複はあるが、SPring-8のBL-23SU(原研ライン)にて、(Ce-Gd)Ni化合物のうち、Gd=rich組成(Gd=0.8, 0.5 )について、軟X線MCD(磁気円2色性)により、3つの構成元素の各々の電子状態について、有用かつ重要な情報を入手することができた;(1)Ceの注目の4f電子は、Gd-rich組成域では明確な磁気モーメントを有しているが、CeRuSi2に比べて多少遍歴性が強く、磁場Hの増加にともないH≒2 Tという比較的低磁場でCeの磁気モーメントは減少し始める。これは、これはCeの磁気モーメントがGdのそれと逆方向から同じ方向に回転し始めるスピン・フロップによるものと考えられが、遍歴性が増加したとの解釈も可能である。(2)Gd=0.8→0.5に減少すると、Ce_3d→4fへの吸収スペクトルの一部分が明確な磁場依存性を示すことも判明し、電子状態を理解する上で、重要な情報を得ることができた。 本課題の本質的な前進として、Ceを非磁性の希土類元素で置換したCe→Y, Lu, Laについては、RKKY相互作用の崩壊的な減少はCeに特有な減少であることが、かなり有力になりつつある。Ce→Laの試料を作成済であり、あと2ヶ月程度で、最終的な結論を得ることが可能と考えられる。
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