研究課題/領域番号 |
24560817
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
垣澤 英樹 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (30354137)
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キーワード | 高温観察 / 熱ひずみ分布測定 |
研究概要 |
多結晶Al2O3を用いて、前年度開発した紫外光照明による高温その場観察システムでひずみ分布を測定するための手法を検討した。前年度にランダムパターンを形成できることを確認した方法(SiC研磨粉で鏡面研磨したAl2O3面を研削)で表面にミクロな凹凸を形成し、加熱中の試料表面のデジタル画像を取得した。得られた画像ファイルを用いてデジタル画像相関法(DIC)により加熱中の熱ひずみを測定した結果、室温から1400℃までの熱膨張係数を測定できた。これにより、開発した技術で高温でのひずみ分布を光学顕微観察レベルの領域で定量的に測定できることを確認した。 一方で、上記のパターニング方法を繊維強化セラミックスにそのまま適用した場合は繊維の損傷が問題になる可能性も考えられるため、他のパターニング技術の可能性についても前年度に続いて検討を行った。市販の耐熱セラミックス塗料をスプレー塗布によって作製したパターンは、ノズル径と塗布圧の調整によりミクロンオーダーのパターン形成が可能で、かつ、高温下でも安定なことを確認した。 高温下で試験片に負荷できるシステムの構築を行った。急速加熱が可能な加熱方法としてレーザ加熱とイメージ炉を検討し、イメージ炉による加熱を採用した。イメージ炉の均熱部に試験片ゲージ部を配置し、試験治具を水冷することにより、高温で引張及び圧縮負荷を行いながら試験片表面の観察を行えることを確認した(設備は現有のものを利用)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高温負荷システムの構築に当初の予定よりも時間を費やし、若干の遅れは生じているが、おおむね順調ではある。当初予定していたレーザ加熱では白色のアルミナ系の材料を効率よく加熱することができず、ゲージ部全体を加熱することが困難であると考えられたため、加熱方式を変更した。今年度までに高温下で試験片表面を観察しながら負荷を行えることを確認したので、今後、開発したシステムを用いて研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに確立した高温観察、高温ひずみ分布測定、高温負荷の核技術要素を組み合わせ、高温下での繊維強化セラミックスの変形挙動を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
高温負荷システムの構築に当初の予定よりも時間を費やし、試験片の発注および加工に若干の遅れが生じたため。 予定通り試験片の発注および加工に使用する。
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