研究課題/領域番号 |
24560822
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
武井 貴弘 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (50324182)
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研究分担者 |
三浦 章 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (10603201)
熊田 伸弘 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (90161702)
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キーワード | 層状複水酸化物 / 遷移金属 / 複合体 / 層状酸化物 / モルフォロジ制御 |
研究概要 |
本研究課題では、種々の化学組成を有する層状複水酸化物を作製し、その層間を利用して機能性層状複水酸化物の合成を行うこと、また脱水反応により、新規的な酸化物の出発原料として用い、新規機能性酸化物の創成に関する検討を行う内容である。平成25年度は、Niを2価金属イオンとして、3価金属イオンにMnやCoを用いて層状複水酸化物を作製した。またこれらの層状複水酸化物を水酸化リチウムと混合し、600℃で焼成することで、酸化ニッケル層を基本とし、一部がMnやCoに置換された層状酸化物(Lix(Ni1-yMy)O2)が作製できたことが確認された。 また、本研究の一つの目的は、層状複水酸化物をトポタクティックに層状酸化物へ変換することである。それが実現できれば、層状複水酸化物の状態でそのモルフォロジを制御し、それを保持したまま層状酸化物へ変換可能となる。そこで平成25年度は、Ni-MnもしくはNi-Co系層状複水酸化物のモルフォロジ制御を検討した。Ni基板上で層状複水酸化物膜を生成させると、板状構造が基板に対して垂直に立った状態であった。またこれを出発原料として酸化物に変換すると、粉末と同様に層状酸化物が作製できることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の検討内容としては、層状複水酸化物のモルフォロジを制御し、かつ600℃で焼成することで酸化物に変換可能であることが確認された。これは、通常の焼成法では困難な化学組成の層状酸化物でも作製可能となると考えられ、非常に大きな進歩であると考えている。また、現時点では有意なデータを示すことはできないが、600℃での焼成プロセス中に層状複水酸化物のモルフォロジが崩壊してしまう可能性が考えられるため、Liのインターカレーションや金属イオンのレドックス反応などをソフト化学的に進行させることを検討している。これらの方法が可能になれば、初期の水酸化物でのモルフォロジを生かした新たな材料設計が可能になると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成25年度の結果を受け、よりマイルドな条件での酸化物への変換反応を検討していく。それとともに、作製した試料の電気化学特性(上記試料の場合は電池特性)等を測定していき、構造とプロパティとの相関性を探っていく予定である。また、平成24年度に行ったポリアニオンと層状複水酸化物との複合体についても、さらなる検討をしていく予定である。具体的には、これまでに報告されていない、Cuを含む層状複水酸化物を作製し、ポリアニオンとの複合体を作製すること、またその触媒活性(シクロヘキサノールの変換等)を評価することを検討したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
水熱処理容器(100000円程度)を購入予定であったが、予定より早く層状複水酸化物のモルフォロジ制御に実験を進めることができたため、一時的に不要となった。そのような理由から、平成25年度は使用を見送った。 新たな系(例えばCuを含む層状複水酸化物)の実験を開始するにあたって、水熱処理容器かもしくは還流配管系が必要となるため、平成26年度に使用することを計画している。
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