研究課題/領域番号 |
24560823
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
橋本 忠範 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10271016)
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研究分担者 |
那須 弘行 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20189179)
石原 篤 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60212908)
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キーワード | pH応答ガラス / セルフクリーニングガラス / 元素戦略 / リチウムフリー / チタノリン酸塩ガラス / 光誘起親水性 / 鉄ビスマスホウ酸塩ガラス / 撥水性 |
研究概要 |
我々は、これまでにTi3+を含まないTiO2-P2O5(TP)ガラスの作製と、これらのガラスの高屈折率エコガラスならびにセルフクリーニングガラスへの応用に関して報告している。また、市販のpH応答ガラスにはリチウムシリケートガラスが広く用いられているが、Ti3+を含む70TPガラスが、リチウムフリーのノンシリケートガラスとしては良好なpH応答性能とセルフクリーニング機能を有することを平成24年度に報告している。さらに、Bi2O3-B2O3ガラスが撥水性を示すことを報告している。撥水性材料では防汚効果が期待できるが、このガラスをpH電極として利用するには電気抵抗が高すぎるという問題があった。平成25年度は、1. 撥水性Bi2O3-B2O3ガラスにFe2O3を添加した電気伝導性ガラスを作製すること、2. 得られたガラスがpH応答を示すこと、3. Fe2O3を添加しても撥水性を維持していることで、pH応答性能と防汚型のセルフクリーニング機能の両立可能なFe2O3-Bi2O3-B2O3ガラスの開発を目指し以下の結果を得た。 1. xFe2O3・yBi2O3・(100-x-y)B2O3(xFeyBiB, x=0, 10, 15 and 20 mol%, y=20 50, 60, and 70 mol%)ガラスを作製した。Fe2O3を添加することで10^10 Ωcmオーダーの比抵抗が二桁減少した。 2. 70BiBはpH応答を示さなかったが、Fe2O3を添加することでpH応答を示すようになった。特にx=20の時に良好なpH感度を示した。 3. Fe2O3を添加しても高い接触角を維持していた。 以上のようにpH応答性能と防汚型のセルフクリーニング機能の両立可能なFe2O3-Bi2O3-B2O3ガラスの開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度は大きく分けて以下の3つを目標とした。 1. 低比抵抗を持つxFeyBiBガラスの作製 xFe2O3・yBi2O3・(100-x-y)B2O3(xFeyBiB, x=0, 10, 15 and 20 mol%, y=20 50, 60, and 70 mol%)ガラスを作製できた。Fe2O3を添加することで10の10乗 Ωcmオーダーの比抵抗を2桁減少させることができた。(達成度100 %) 2. 高pH感度を持つxFeyBiBガラスの作製 70BiBはpH応答を示さなかったが、Fe2O3を添加することでpH応答を示すようになった。特にx=20の時に良好なpH感度を示した。H24年度に行ったTPガラスのpH感度より高かったのでガラス系としては適切と判断した。H26年度に組成の最適化を行う必要がある。(達成度95 %) 3. 高接触角を持つxFeyBiBガラスの作製 Fe2O3を添加しても高い接触角を維持していた。(達成度100 %) 以上のようにpH応答性能と防汚型のセルフクリーニング機能の両立可能なFe2O3-Bi2O3-B2O3ガラスの開発に成功した。(達成度95 %)
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に自己洗浄タイプのセルフクリーニング機能を有するpH応答ガラス(TPガラス)の開発に成功した。H25年度に防汚タイプのセルフクリーニング機能を有するpH応答ガラス(Fe2O3-Bi2O3-B2O3ガラス)の開発に成功した。 H26年度は、1. TPガラスより高いpH感度を示したxFeyBiBガラスの組成の最適化を試みる。2. また、新規pH電極の開発の一環で、ガラス電極では実現困難な微小領域を測定可能なpH電極の開発を検討する。具体的には、1. に関してはy=70-80 mol%のxFeyBiBガラスを作製してpH応答性能と撥水性の両立を検討する。2. に関しては金属基板にゾル-ゲルコーティングをしたpH電極を作製して、性能評価をする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に研究棟の改修が行われ8月から翌年3月まで全く実験ができなくなる可能性があったので、研究計画が遅れることを考慮に入れ平成25年度予算を半分(30万円)に減らした。ほぼ計画通りに研究は進められたが、1万5千円程度の次年度使用額が生じた。 次年度使用額の金額は大きくないので研究遂行上問題はない。平成26年度は計画通りに予算執行する。
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