研究課題/領域番号 |
24560824
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村井 俊介 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20378805)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 表面プラズモン / ゾルーゲル |
研究概要 |
金属表面の自由電子の協同的振動(プラズモン)を利用したフォトニクスの一分野として始まったプラズモニクスは、現在ではフォトニクスの弱点を補い限界を超える技術として注目を集めている。応用分野は通信、情報処理、医療、デバイスとしてはセンサー、ナノ光源から最近では太陽電池など幅広い。 本研究は金属と誘電体材料を組み合わせ、光と強く相互作用する一方で損失の少ない光機能性複合材料の開発を狙う。材料科学のノウハウを生かし、ハイブリッド・プラズモニック材料を作製する。具体的には、ハイブリッド・プラズモニック構造を液相法とテンプレート法、および蒸着法を用いて作製する。狙う効果はファラデー効果増強と発光増強の2 つである。 当該年度の研究では、回転ステージを組み合わせた光学系を構築し、透過率・反射率測定が自動で測定できるシステムを立ち上げた。また、液相法+スピンコートを用いてシリカガラス基板上に導波路かつ発光層となる蛍光体酸化物(YAG:Ce)薄膜を作製し、その上に銀ナノ粒子を堆積させることでハイブリッド・プラズモニック材料を作製した。また、その試料における発光増強効果を確認した。 さらに、酸化鉄薄膜と銀ナノ粒子からなるハイブリッド・プラズモニック材料を作製し、ファラデー効果を測定したところ、期待したとおり、銀ナノ粒子の電場集中効果によるファラデー回転角の増強が確認された。 以上のように、当該年度の研究では、おおむね計画通りの成果を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画では、当該年度の研究において、ハイブリッド・プラズモニック材料を作製して、発光およびファラデー効果の増強を達成することを目的に掲げた。現在までに、発光評価のための回転ステージを組み合わせた光学系を構築し、透過率・反射率測定が自動で測定できるシステムの立ち上げを完了し、銀ナノ粒子と誘電体薄膜から成る構造において発光の増強とファラデー効果の増強を実験的に確認出来ているため、現段階で、「研究の目的」の達成度について、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
銀ナノ粒子と誘電体薄膜から成る構造において発光の増強とファラデー効果の増強を実験的に確認出来ているため、今後もさらなる増強効果を狙った研究を行う。特に、構造の3次元化を達成し、それによる増強効果についての検討に注力することを考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の研究の推進方策にしたがって研究費を使用する。試料作製用の試薬、特に3次元化のためのモールドの購入に予算を当てる。また、研究成果の報告・情報収集のための学会参加費用にも研究費を使用する。さらに、研究成果の論文化にともなう投稿料も研究費から支出する。
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