研究概要 |
ガドリニウム固溶セリア(Gd-doped ceria, GDC)電解質の電子伝導性を抑制するため、アノードにプロトン導電体を添加し、GDCへの水素の固溶を抑制することを試みた。プロトン導電体としてBaCe0.8Y0.2O2.9(BCY)を選択した。Ba,Ce,Yの混合金属塩水溶液を炭酸アンモニウム水溶液に添加して、炭酸塩として沈殿させた後、凍結乾燥して1400℃、10h焼成してBCYを得た。空気中、1400℃の焼成ではNiO-GDCとBCYの反応は起こらないこと確認した。Ni-GDC-BCY(アノード)/GDC(電解質)/La-Sr-Co-Fe-O系ぺロブスカイト酸化物(カソード)の固体酸化物形燃料電池を作製して、アノードに燃料として、3vol%-H2Oを含むH2を供給し、発電性能を500-800℃の範囲で測定した。開放起電力および出力密度は、0.740 V,10.2 mW/cm2 at 600 ℃, 0.641 V, 23.8 mW/cm2 at 800 ℃であった。これらの値は、アノードにBCYを添加していない場合 0.829 V, 166 mW/cm2 at 600 ℃, 0.787 V, 506 mW/cm2 at 800 ℃に比べて低かった BCY添加によるOCVの向上は見られず、Ni割合低下により、MPDが低下した。 カソードにGDCを添加すると、LSCFの電子導電経路遮断して出力密度は低下した。LSCF粉体を粉砕するとGDC-LSCF-O2の三相界面の増加により、出力密度は324から540mW/cm2に増加した。 CH4-C02系燃料を用いた場合、CH4 60vol%、800℃で334nW/cm2の出力密度が得られた。50hの連続運転でも出力は安定していた。出口ガスにはCH4-C02の他、H2,CO,O2が含まれ、CO2によるCH4の改質反応が起こった。
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