研究実績の概要 |
当初、今年度に予定していた(1)カソード材料La-Sr-Co-Fe-O系ペロブスカイト酸化物(La0.8Sr0.2Co0.8Fe0.2O3-δ, LSCF)の気孔率および細孔径の影響、(2)酸化物イオン伝導性の高いガドリニウム固溶セリア(Gd-doped ceria, GDC)のカソードへの混合の影響については、昨年度検討した。そのため、今年度はアノードに注目し、アノードガス組成が開放起電力に及ぼす影響を検討した。 Ni-GDCサーメットアノード-GDC電解質-LSCFカソードの固体酸化物形燃料電池単セルを用いた。薄膜電解質(50μm)と厚膜電解質(500μm)の電解質厚さの異なる2種類のセルを作製した。アノードに3 vol%-水を含む水素あるいは水素-アルゴン(0, 50, 90, 95 vol%)系混合ガス、カソードに空気を供給した。800℃での開放起電力を測定した。3 vol%-水を含む水素を燃料とした場合、開放起電力は薄膜電解質で0.41V、厚膜電解質で0.44Vであった。水素-アルゴン(0, 50, 90, 95 vol%)系混合ガスを供給した場合、薄膜電解質で0.20-0.252V、厚膜電解質で0.095-0.176Vであった。いずれも理論起電力に比べて低かった。GDCのイオン輸率を向上を目指し、電子伝導性の原因となるGDC電解質への水素固溶を抑制するため、アノードの水素分圧を低下させたが、起電力の低下は抑制できなかった。
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