研究課題
1.磁気配向現象を用いたビスマスナノ粒子の磁気的性質の解析昨年度試作した粘性液体中に分散されたナノ粒子の過渡的な磁気配向を偏光透過率で観測する装置の計測において、初期回転角と磁場値を多数選ぶことにより、異方性磁化率の測定精度を改善した。直径370nmおよび直径200nmの球状ビスマスナノ粒子の異方性磁化率はそれぞれ3.9×10-5および2.9×10-5となった。磁場中X線回折の磁場依存性から解析された直径400nmの粒子の異方性磁化率は3.6×10-5に近い値を得た。一方、80%以上の収率で作製可能となった直径約700nm厚さ50nm板状粒子の異方性磁化率は2.3×10-5となった。粒子の異方性磁化率はバルク値5.3×10-5よりも小さく、結晶のc軸方向のサイズに対して単調に減少することを初めて明らかにした。さらに、長い緩和時間の透過率変動が観測され、粒子同士の配列に起因することが画像のフーリエ解析から示唆された。2.ビスマス粒子の誘電的性質の解析直径約400nmの球状粒子および直径800nm厚さ50nmの板状粒子をMMA中に分散し、8Tの磁場下で配向・固化させたビスマス粒子PMMA透明複合体を作製した。複合体のX線回折から粒子はほぼ完全に配向していることを確認した。c軸に垂直な入射方向からの偏光透過率の厳密結合波(RCWA)解析を行った結果は、誘電率の異方性がバルクの値から推定される10倍以上の差があることを示唆した。さらに、球状および板状粒子複合体では屈折率差に起因する透過光に位相差が発生することが明らかになった。400nm球状粒子1個の位相差は同等厚のバルク膜で計算される位相差に比べて50分の1であった。ビスマス金属は微細化により半導体に転移してゆくことが明らかになっているが、異方性磁化率の減少や屈折率差の減少はサイズ効果によるものと推察された。
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