本研究では,電気伝導率の向上,熱伝導率の軽減または保持および熱起電力の増大による熱電材料の高性能化を実現するため,ミクロ構造制御のアプローチから有限要素法を用いた解析と複合熱電材料の実験研究を行った。その結果より複合熱電材料の有限要素モデルを確立するとともに電気抵抗率,ゼーベック係数,および熱伝導率を併せて解析できた。有限要素モデルの解析および実験結果のいずれにおいても,電気抵抗率は複合金属の体積率が大きくなるに従って軽減でき,半導体的性質が保持できる金属の体積率は温度の上昇とともに低下した。これらの要因の綜合作用によって複合熱電材料の高性能化を実現するとともにそのメカニズムを明らかにした。
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