植物バイオマスであるセルロースから扁平状微粒子及びナノファイバーを作製し、天然ゴムの補強剤として活用することにより、バイオマス比率の高い機能性グリーンコンポジットを創製し、その機能性評価を行った。 扁平状微粒子については、微粒子を天然ゴム中で一方向に配列させたコンポジットにおける微粒子-ゴム間の界面接着性がコンポジットの物性や機能性に及ぼす影響について検討した。その結果、接着処理剤の配合やマトリックス材をエポキシ化することによって両者の界面接着性が向上し、100%あるいは300%伸長時の引張応力などの機械的特性が大きく向上することが明らかになった。コンポジットの制振性については、接着処理剤を配合した場合には微粒子添加量の増大とともに制振性の向上率が低下した。一方、マトリックス材をエポキシ化した場合には微粒子添加量の増大とともに制振性が大きく向上した。これらのことから、コンポジットの制振性は微粒子とゴムとの界面での摩擦によるエネルギー損失に大きく依存し、界面の適度なぬれ性が重要であることが示唆された。 ナノファイバーについては、ナノファイバーの形状やナノファイバー-ゴム間の界面接着性がコンポジットの物性に及ぼす影響について検討した。機械処理により作製したナノファイバーの場合、長繊維ナノファイバーで補強したコンポジットは低伸長時における引張応力が向上し、短繊維ナノファイバーで補強したものでは引張強さや破断伸びが向上した。一方、シングルセルロースナノファイバーの場合、長繊維ナノファイバーで補強したものの方が短繊維ナノファイバーで補強したものよりいずれの物性も優れていた。このことから、ナノファイバーの形状によってコンポジット中での分散性に相違があらわれるものと考えられた。また、いずれのコンポジットについても、界面接着剤の配合により物性が大きく向上した。
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