研究課題/領域番号 |
24560844
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
後藤 弘匡 東京大学, 物性研究所, 技術専門職員 (50596004)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高温高圧 / ダイヤモンド / 装置開発 / 物質合成 |
研究概要 |
本研究の目的は、申請者がこれまでに開発・発展させてきた高温高圧力発生装置と実験技術を更に発展させ、この技術を新物質開発に応用する事により、これまで作るのが難しいとされてきた原子半径が大きく異なる不純物をドープした新しいダイヤモンドを創成し、その物性を明らかにする事である。 初年度はこれまでに開発してきた対向アンビル型高圧発生装置を更に発展させ、従来までは難しかった正確な温度を測定しながら安定した高温高圧実験を行う事が可能な対向アンビル型装置の開発に成功した。具体的な開発手順は以下の通りである。 アンビル先端の直径、先端に付ける窪み形状、あるいは、ヒーターの寸法を変えながら高温高圧発生実験を行った。特に高温発生時には温度と圧力の安定度をチェックした。また高温高圧実験終了後は高圧セルを回収して観察を行い、サンプル周辺の変形が均一になっているかどうか確認した。続いて熱電対を試料部に通すためにガスケットやアンビルに溝や穴を掘り、どのようなガスケットやアンビル形状の場合に熱電対を入れたまま、最も安定した実験が可能であるかを調べた。このような実験の結果できあがった装置をKEKへ持ち込んで高温高圧発生実験を行って、発生温度と圧力値のチェックを行い、さらにこの装置を使った応用実験を繰り返し行って、この装置の性能のチェックと実用性について検証を行った。その結果、発生圧力領域の拡張に成功し、非常に精度良く温度と圧力を制御しながら安定した高温高圧実験が可能になった事がわかった。 関連した成果は、査読付き投稿論文(3本)、国際学会発表(1件)、国内の学会や研究会での発表(3件)により公表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対向アンビル装置の開発が進んだこと、更に二段式マルチアンビル型高圧装置の立ち上げも進めてきたことにより、二つの装置で物質合成を行える体制が整いつつある。この両装置をうまく使い分けることで、合成の可否、合成条件(温度圧力条件)の探索、更に物性測定用の大きめの試料作成を行う事ができるようになり、物質開発から測定までの一連の実験を行うための準備が整ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度からは本格的に不純物ドープダイヤモンドの合成にとりかかる。 まずは、Liドープダイヤモンドの合成を試みる。続いて他のアルカリ金属、アルカリ土類金属のドープの可能性を探る。温度圧力条件の他、原料のグラファイトも複数用意して、どういった組み合わせや条件ならば不純物ドープダイヤモンドが合成可能になるのか、を明らかにしつつ、実験を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
高温高圧発生装置に使用するアンビル、ヒーター、圧力伝達媒体、サンプルカプセルに使用する金属箔等の消耗品、その他、原料となるグラファイトやアルカリ金属類などの試薬の購入に主に使用する。 他大学の研究者との打ち合わせ、出張実験、あるいは学会発表などのための出張旅費としても使用する予定である。
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