研究課題/領域番号 |
24560845
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
末松 久幸 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30222045)
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キーワード | ニッケルフェライト / 有機物吸脱着 / 磁化 / スピン |
研究概要 |
有機物分子の電界効果によるフェライト磁気特性変化デバイス開発のための基礎として、以下の2つの研究を行った。(1)ニッケルフェライトナノ粒子に様々な有機物を付着させ、この吸脱着による磁化変化の測定を行った。このギ酸からオクタン酸まで炭素数を変化させたところ、炭素数の最も少ないギ酸が磁化の減少量最大の8.6%を示した。また、オレイン酸からリノレン酸まで、炭素数一定で二重結合数を変化させたところ、その差に変化はなかった。この結果から、炭素数の少ないギ酸は、分子の大きさが小さいことによる吸着量の増加かその極性の増加により、ニッケルフェライトナノ粒子表面付近のスピンを固定か偏向させることにより磁化を変化させたと考察された。(2)ディップコート法によるニッケルフェライト薄膜作製を行い、900℃、1時間40分焼成によってAg基板上に単一相薄膜の作製に成功した。その磁化特性測定を行い、20emu/cm3の磁化を得ることができた。これらの結果により、有機物吸着した多結晶ニッケルフェライト薄膜の磁化変化に道を開いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の様に、当初の目的であるニッケルフェライト薄膜の有機物吸脱着による電気・磁気特性変化に対して、(1)により、これまで実験例がなかった磁化変化を最大とする最適な有機物分子が判明した。また、(2)により、これまで詳細な作製条件が分かっていなかった単一相ニッケルフェライト薄膜のディップコート法による作製が可能となり、最適な焼成条件と基板が判明した。これらの結果から、当初目標に対して、研究が順調に進展していると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成26年度においては、多孔質薄膜の作製、有機物吸着方法開発、磁化測定などの実験を行うことにより、上記目標を達成する予定であり、これが十分可能と考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度内の液体ヘリウム供給が間に合わず、磁化測定よりも試料作製を優先させたため。 SQUID磁束計による磁化測定を、当初予定より増やして行う。
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