研究概要 |
本研究では、5A族水素透過合金の「合金設計の指針」を広く5族金属(V, Ta)へ展開し、耐水素脆性と水素透過能の向上を目指した5族金属系水素分離膜の新たな設計指針を得ることを目的とする。本年度はV系合金について、水素の溶解と拡散および水素透過能の基礎的物性を定量評価した。主な成果は以下の通りである。。 (1) V系合金の水素溶解特性: V-M合金(M=Cr, Mo, W, Fe, Co, Ru, Al)ついて水素溶解特性に及ぼす合金効果を定量評価した。 (2) V系合金の設計指針の確立: 昨年度までに得られている、V合金の延性-脆性遷移水素濃度(DBTC)および上記(1)の結果より、水素脆化を回避しつつ高い透過能を得るためのV系合金の設計指針を得た。 (3)水素の化学ポテンシャルに基づく水素透過能の新しい表現: 水素の化学ポテンシャルに基づく拡散方程式より、金属膜の水素透過能を統一的に表現する新しい拡散方程式を導出した。この式に基づいて、金属膜の水素透過流束が水素溶解特性を表すPCT曲線の形状を反映していることを明らかにした。 (4)水素透過能試験と水素拡散に易動度の解析: 種々のV系合金について水素透過試験を系統的に行い、得られた水素流束に対して上記(3)の新しい表現に基づく解析を適用し、水素易動度に及ぼす合金効果を定量評価した。
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