研究課題/領域番号 |
24560850
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
谷口 俊輔 九州大学, 学内共同利用施設等, その他 (60590065)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 燃料電池 / 固体 / 酸化物 / 空気極 / クロム / 被毒 |
研究概要 |
クロム被毒によるカソード劣化を抑制する独自コンセプトの実現のため、(1)過電圧によるクロムの移動定量化(⇒クロム再蒸発を促進する最適制御)、(2)カソード/クロム分子相互作用の解明(⇒カソードの最適表面組成・構造概念設計)、(3)クロムを固定化しないカソード材料の探索(⇒耐被毒性カソード材料の開発)に取り組んでいる。(1)については、性能低下に直接影響する「電極反応場近傍へのクロム析出」はカソード過電圧に影響され、カソード過電圧を小さくすれば、クロム移動量や析出量も小さくなることを明らかにした。これが劣化抑制の1つのポイントになる。カソード過電圧の変化によるクロムの再蒸発の明確化や定量には着手し、現在多数の実験を実施中である。(2)については、LSMカソード、LSCFカソード、LNFカソードについてSTEM-EDXにより、析出したクロムの位置を詳細に分析した。その結果、ミクロなクロム析出の場所は、電極反応場と推測される場所とほぼ一致し、基本的なメカニズムとして、「電極反応に伴う過電圧により電極材料表面に生成する酸素空孔がクロム蒸気と反応すること、及びその過程が律速になること」が明らかになりつつある。今後は、原子分解能での超微細観察も適用し、析出したクロムの状態を確認することよって、メカニズムを明確化していく。 (3)については、同一過電圧条件においてLa系以外の複数のカソード材料を、LSM等と比較することによってスクリーニングを実施中である。今後、クロムとの反応性が低い材料、過電圧状態で酸素欠損の少ない材料なども再考し、(1)(2)の検討と合わせて耐被毒性カソード材料の開発につなげていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに「カソード過電圧低減によるクロム析出量の低減が有効」であること、「電極反応に伴う過電圧により電極材料表面に生成する酸素空孔がクロム蒸気と反応すること、及びその過程が律速」になることを明らかにしている。現在、材料のスクリーニング、原子分解能観察によるメカニズム詳細解明を実施しており、期間内の目標達成が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
目標達成に向けて、引き続き「カソード過電圧の変化によるクロムの再蒸発の明確化や定量」、「原子分解能での超微細観察も適用したメカニズム詳細解明」、「クロムとの反応性が低い材料、過電圧状態で酸素欠損の少ない材料など多様なカソード材料の試験」を実施していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は セル試験のために必要な物品に30万円程度 高分解能電子顕微鏡などの分析装置利用料に40万円程度 成果発表のための旅費として30万円程度 を使用する計画である。
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