研究課題/領域番号 |
24560852
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中田 伸生 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50380580)
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研究分担者 |
田中 將己 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40452809)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 構造・機能材料 / 鉄鋼材料 / 相変態 / 組織制御 / 超微細粒鋼 |
研究概要 |
炭化物の析出・溶解によって微細ラス状オーステナイト(ラスオーステナイト)を得るためには、次の3つの条件を満足しなければならない。1.添加元素が完全に固溶した完全溶体化状態では冷却後もオーステナイト組織が安定である。2.炭化物が析出した部分溶体化状態では冷却後にマルテンサイト組織となる。3.昇温過程でマルテンサイト逆変態が発現する。これらを満たす合金組成と熱処理条件を明らかにする基礎実験としてFe-Ni-C合金において以下の実験を順次実施した。 1. Ni、C量を種々変化させた鋼(Fe-(15-30)%Ni-(0-1.0)%C合金)を溶製し、十分な均質化処理を行った試料に対して、完全溶体化処理後水冷によって得られる組織を組織観察ならびにX線回折によって同定した。これにより、完全溶体化後のNi-C状態図を作成した。 2. 熱力学計算ソフトThermo-Calcを用いてFe-Ni-C三元状態図を作成し、NiとCの共析組成の変化を求め、上記Ni-C状態図を基に部分溶体化処理後に室温で得られる組織を予測した。以上の操作により、炭化物の析出・溶解によって、fcc→bcc(bct)→fcc 相変態がほぼ試料前面で生じる合金を選定した。 3. Ni量が異なるFe-Ni-C合金を準備し、fcc→bcc(bct)→fcc相変態が実際に生じることを熱膨張測定、組織観察、X線回折により確認した。ただし、bcc(bct)→fcc逆変態は、低昇温速度の場合に拡散型逆変態を生じることが危惧されるため、様々な昇温速度(1-100℃/s)で加熱した場合の逆変態挙動から、マルテンサイト逆変態が発現する臨界昇温速度を見極めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基礎研究ならびに比較となるFe-Ni-C合金において微細ラス状オーステナイト組織を行うための組織制御指針ならびに詳細な相変態挙動の調査は予想以上に進行しているが、主題となるFe-Mn-C合金での同様の調査が十分に進行できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに研究計画を速やかに実施するとともに、次年度以降の研究計画を予定通り実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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