マルテンサイト逆変態を利用して、Fe-Mn-C合金において微細ラス状オーステナイト組織(ラスオーステナイト)を得ることを目的に実験を行った。本年度は、Fe-Mn-C合金においてマルテンサイト逆変態が発現する条件を明らかにすることを主題として、bcc-マルテンサイト組織を持つFe-5%Mn-0.15%C合金を種々の昇温速度で逆変態した場合のbcc→fcc逆変態挙動を調査した。その結果、本合金の逆変態挙動には昇温速度依存性があり、400K/s未満の昇温速度では従来型の拡散型逆変態が生じるのに対して、400K/s以上の昇温速度においてマルテンサイト逆変態が発現することを明らかにした。これにより、逆変態温度が低く、原子の拡散が抑制される高Mn鋼においては、比較的容易にマルテンサイト逆変態が発現することを示した。
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