研究課題/領域番号 |
24560855
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
藤井 伸平 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (90189994)
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研究分担者 |
小山 佳一 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (70302205)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 磁気秩序秩序一次転移 / 第一原理計算 |
研究概要 |
第一原理計算(研究代表者:藤井)においては、まず、Mn2Sbではフェリ磁性状態、Mn2Asでは反強磁性状態がエネルギーの最も低い状態(基底状態)となること、すなわち、実験結果を矛盾しない結果が得られることを確認したのち、Mn2Sb1-xAsxおよびMn2-xXxSb(X=Co, Cu)の計算にも着手した。後者において、x=1の計算は終了し、X原子のサイト選択制、格子内での原子位置の最適化、格子歪みなどについての知見を得、また磁気状態とそれらの関係についても考察を行なっている。現在、両物質につて、x=0.5,0.25の計算を実行中である。 実験(分担者:小山)では、Mn2-xCoxSb、Mn2-xCuxSbおよびMn2Sb1-xGexを中心に研究を進めた。試料合成と基礎磁気特性評価を鹿児島大学で、高圧下磁気特性評価を東京大学物性研究所全国共同利用、強磁場磁気特性、電気抵抗測定、高温強磁場磁気特性評価を東北大学金属材料研究所強磁場センター全国共同利用で行った。Mn磁性サイトをCoで置換したMn2-xCoxSbについては、強磁場印加、圧力印加により磁気一次相転移の抑制効果(KA効果)が増強されることを確認した。同じくCuで置換したMn2-xCuxSbも磁場によりKA効果が増強されることを見出した。一方、非磁性SbサイトをGeで置換したMn2Sb1-xGexは16Tの強磁場下でもKA効果が見出されないことが判明した。これらの結果は、磁性副格子の乱れがKA効果を誘起する可能性を示唆しており、現在さらに詳しい調査を進めている。単結晶育成も進めており、H25年度以降単結晶を用いた実験に取りかかる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究課題に関連した論文数が少ないように思われるかもしれないが、現在投稿中および準備中のものがいくつか存在すること、当研究課題に関連した学会講演は1年で10数件に上ること、今年度半ばでの国際学会での講演の準備が進んでいることが理由である。 高圧下磁気特性評価を東京大学物性研究所全国共同利用、強磁場磁気特性、電気抵抗測定、高温強磁場磁気特性評価を東北大学金属材料研究所強磁場センター全国共同利用でというように、研究代表者ならびに分担者が所属する鹿児島大学以外の施設の利用が順調にすすんでいることも理由の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
第一原理計算においては,Mn2Sb1-xAsxおよびMn2-xXxSb(X=Co, Cu)の計算を引き続けるとともに、Mn2(Sb1-xZx)(Z=Sn, Ge)のバンド計算にも着手する。さらに,NiCoMnSn系についても準備をすすめる。 実験においては,Mn2-xCoxSb、Mn2-xCuxSbおよびMn2Sb1-xGexについて多結晶,単結晶試料の合成を行い,それらの基礎磁気特性評価を鹿児島大学でおこなう。中性子散乱実験は東京大学物性研の設備を共同利用する。この実験により、一次磁気相転移近傍のスピンの揺らぎを評価し、磁気的不安定性について知見を得る。さらに、Ni基ホイスラー合金NiCoMnSn系物質の合成に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当無し
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