研究課題/領域番号 |
24560857
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
三浦 永理 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70315258)
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研究分担者 |
小幡 亜希子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40402656)
山崎 徹 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30137252)
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キーワード | チタン合金 / 生体材料 / 審美性 / 歯科補綴材料 / 酸化物 |
研究概要 |
Auマーカー法を用いた酸化機構の解明 目的:これまでの結果から,CP TiとTi-Nb-Ta-Zr合金の酸化皮膜の形態が大きく異なる事が判っているが,その皮膜形成機構は不明である.そこでマクロな拡散方向を知るため,Auマーカー法により拡散の律速過程を調査した. 実験方法:鏡面研磨したCP Ti並びにTi-Nb-Ta-Zr合金の表面に,マグネトロンスパッタ装置により試料表面の半分の領域のみAuコーティングを施し,その後通常の方法で白色皮膜を生成させた.その後,断面観察試料を作製し,Auマーカーの位置をSEM-EDSならびにEPMAで確認した. 結果:CP TiとTi-Nb-Ta-Zr合金共に,白色化後の試料において,Auマーカーを施した部分は,施さなかった部分に比べ皮膜厚さが著しく減少した.EPMAにて元素マッピングならびにEDSにて元素線分析を行ったところ,CP TiではAuマーカーが基板と白色酸化皮膜の界面に位置していたのに対し,Ti-Nb-Ta-Zr合金では,Auは主に皮膜表面や皮膜内部,そしてわずかに界面で検出された.このことから,CP Tiでは,Tiの表面への外方拡散,Ti-Nb-Ta-Zr合金では,主にOの基板方向への内方拡散が起こっており,また金属イオンの外方拡散も同時に起こっていることが判明した.従ってCP Tiの場合,Tiイオンの拡散が反応の律速段階であるため,酸化物形成において,TiO2核成長におけるTiイオンの不足によるカーケンドールボイドの形成が,皮膜のパイ層構造の原因と考えられた.一方,Ti-Nb-Ta-Zr合金では,TiO2とNb含有酸化物の複相酸化物形成が律速となるため,微細で緻密な構造が得られると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今後の研究推進方策として今年度予定していた断面観察が進み,皮膜形成機構の解明が予定通り進んでいる.また,剥離試験などの力学特性の評価も順次行っている.また,ぬれ性評価も行い,金属基板に比べぬれ性が向上することが判明した.また,2元系合金の作製も順次行っている.
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今後の研究の推進方策 |
実用化を睨み,機械的性質と審美性の両立条件を調査する. 剥離試験:酸化皮膜の耐久性,特に金属基板に対する耐剥離性評価を進める. 歯科矯正ワイヤの白色化条件の探索と耐剥離性の評価:酸化膜生成による体積膨張の影響は,基板の比表面積が大きくなるほど大きくなると推測され,そのため界面は栗が起こりやすくなると考えられる.そこで,白色化したTi-Nb-Ta-Zr合金の歯科矯正ワイヤへの応用を想定し,矯正ワイヤ形状での白色化条件を調査する. 色調コントロールのための合金元素の検討:酸化膜の明度は皮膜厚さでコントロール出来るが,色相や彩度は皮膜組成である程度決定される.そこで,2元系合金を作製し,酸化物の色調とモフォロジーについて検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
採択当初本年の遂行を予定していた機械的性質評価に関し,その測定用機器の外注を予定していたが,今年度は一部のみ遂行し,自作機器で間に合ったため,外注費用が今年度は不要となったため. 評価用機器の作製費,成果発表のための論文出版費,学会出張旅費,東海地方並びに近畿地方の企業との共同研究に伴う打合せ旅費を予定している.
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