研究課題
密着強度を上げるため,基板の表面粗さの影響を調査した.基板の表面粗さの影響の調査:試料はTi-29Nb-13Ta-4.6Zr (以下TNTZ)とTi-36Nb-2Ta-3Zr (以下Gummetal)について,金属基板表面を異なる粗さのエメリー紙あるいはバフ研磨,ショットピーニング等で表面粗さを変化させた.基板の表面粗さはレーザー顕微鏡を用いて測定し,算術平均粗さRaとして示した.酸化熱処理は大気中において1273 K,1.8 ksの条件で行った.得られた試料は,分光測色計を用いて表面色の測定(明度L*,赤-緑a*,黄-青b*)と密着性試験器による剥離試験を行った.断面組織観察は走査型電子顕微鏡(SEM)を用い,酸化膜厚を調査した.酸化した試料のSEM断面観察の結果,TNTZ,Gummetalともに緻密な白色酸化被膜が得られた.明度L* はいずれの試料も78.7 < L* < 82.4の範囲にあり,歯冠色と同様の明度が得られた.一方で,表面粗さの上昇に伴いb*は上昇し,ショットピーニング材はb*=15.2と,歯冠色に近づいた.0 < Ra < 2 μmの範囲では,剥離強度に大きな変化は見られなかったが,Ra = 2 μm以降では剥離強度が低下し,ショットピーニングを行ったRa=14以上の試料では剥離強度が大きく低下した.また,酸化前の基板の表面粗さの変化に伴い,酸化膜の表面粗さも変化した.本結果から,白色被膜の剥離強度は,表面粗さが2 μm以下で最大値を得られる事が明らかとなった.またこの粗さでは,色調への基板粗さの影響も小さい.その他,矯正ワイヤへの応用や,白色酸化被膜の高機能化に関する調査も行った(特許出願予定).
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 53(11S) ページ: 11RD02-1-8
DOI:10.7567/JJAP.53.11RD02
チタン
巻: 62 ページ: 286-292
http://www.eng.u-hyogo.ac.jp/msc/emiura/