研究課題/領域番号 |
24560860
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
長谷部 光泉 東海大学, 医学部, 教授 (20306799)
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研究分担者 |
鈴木 哲也 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10286635)
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キーワード | ステントグラフト内 / エンドリーク / 炭素系薄膜 / プラズマ / 薬剤徐放部材 / 血管内皮細胞 / 線維芽細胞 |
研究概要 |
致死的な結果を招く大動脈瘤に対し,体に優しい治療法として,血管内手術による「ステントグラフト内挿術」が広まっている.しかしながら、留置後の血管壁とグラフトの隙間からの血液再流入(エンドリーク)により,動脈瘤が再発・破裂をすることが最大の問題点である.本研究では,プラズマ技術によるグラフト表面形状制御および薬剤徐放制御システムの融合により,血管壁とグラフトの隙間の早期創傷治癒が可能となる新規素材開発を行う.本研究では薬剤を含浸したポリマーを基礎材料に,血管細胞の接着・増殖を促進する新規材料開発を進める.ポリマー基材をプラズマ技術により処理し「ナノ・マイクロレベルでの表面形状」および「薬剤徐放特性」を制御することで,血管内皮細胞や線維芽細胞の接着・増殖を制御し,早期の創傷治癒に寄与する材料の創製を目指す. 平成25年度は、申請時実験計画に基づいて以下の点を明らかにした. 1) プラズマ処理に伴うナノパターニング表面が,表面の撥水性や抗血栓性にどのように影響するかを明らかにし,Diam Relat Mater, 2013;38:14-18に報告した. 2) bFGFが,血管内皮細胞の増殖を促進するが,血管平滑筋細胞の過剰な増殖を惹起しないことを見いだし,J Atheroscler Thromb, 2014;21:477-485に報告した. 3)さらに,細胞増殖因子を含浸させたポリマーにa-C:H膜マイクロパターニングした基板からの徐放特性を調査さうる前段階として,a-C:H膜とポリマー(リン脂質系ポリマー)の複合材料が,血管内皮細胞に対してどのような影響を与えるのかを明らかなし,国内学会(第27回ダイヤモンドシンポジウム:最優秀賞受賞),国際学会(International Conference on Diamond and Carbon Materials 2013)にて報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画は概ね順調に進展しているが,細胞増殖因子を含浸させたポリマーに炭素系薄膜 (a-C:H膜)マイクロパターニングした薬剤徐放性部材評価において,プラズマ処理や温度管理が薬剤に与える影響など,また実験の再現性などに難渋する面があり,多くの検証・再現実験が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,細胞増殖因子徐放特性を有したポリマー上での細胞接着・増殖性・線維化を明らかにする.平成25 年度に.細胞増殖因子の徐放特性の最適条件を明らかになったため,それらの新規素材に対して新たにヒト臍帯静脈内皮細胞・ ヒト線維芽細胞を用いた細胞培養実験を行う.本実験により,ポリマー基材の表面性状・細胞増殖因子の徐放量 および細胞の接着性・増殖性の関係性を明らかにし.エンドリーク防止に向けた新規ステントグラフト素材としての性能を評価する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に細胞増殖因子を含浸させたポリマーにa-C:H膜マイクロ パターニングおよびAr プラズマ処理の徐放特性全てを明らかにする予定であったが,その前段階の実験として,パターニング基板が血管内皮に悪影響を及ぼさないか,あるいは実際に血管内皮増殖促進に役に立つのかを検証する実験の再現性試験に時間がかかったため,実際のbFGFを含浸させ,ELISA法でその徐放特性を調べる実験の結果確定に関しては,平成26年度に施行することとなった. 細胞増殖因子徐放量の測定について,様々な基板とパターニングを用いて,ELISA 法にて定量していく.またFT-IRによる定性試験も行っていく.これについては昨年度平成25年度研究実施計画にも前もって「研究が当初の計画通り進まない場合、ポリマーへの細胞増殖因子含浸方法およびELISA法における抗体の選定を 再度検討する」と記載した通りである.
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