研究課題
炭素質稠密カラム構造より成るペクチンスパッタ膜をガス感応膜に用いて、表面電位および表面相互作用力への化学刺激による影響をプローブ顕微鏡により評価した。無刺激下での表面電位の初期値は、乾燥状態では負側に、加湿状態では正側に分布した。また、乾燥・加湿の両方において、表面電位は経時的に負側にシフトして行った。この変化率(変化速度)は加湿下では乾燥下より大きくなった。エタノールや水蒸気の化学刺激により、変化率は乾燥下および加湿下を問わず顕著に増大した。また、加湿下では、非極性種による化学刺激により、無刺激に比べてその変化率が若干減少した。一方、乾燥下では、極性・非極性を問わず、化学刺激によりその変化率が若干増大することが認められた。水晶振動子のインピーダンス解析により、化学刺激(1000 ppm)に対する感応膜の粘弾性への影響を調べた。ペクチンやリグニンのスパッタ膜、またワックス蒸着膜など、中庸な粘弾性を有する感応膜では、親和性の高い化学種の収着により、粘性と弾性とが逆相関で応じることが示された。一方、硬質なグルタミン酸蒸着膜や粘稠質なグルコース蒸着膜のような極端な粘弾性を有する感応膜では、親和性の高い化学種の収着により、粘性と弾性とが順相関で応じることが示された。収着による影響を化学種で整理すると、エタノールは弾性を増加させるが、ヘキサンは弾性を低下させる。また、粘性に関しては、化学種や膜質で収着の影響を整理できなかった。感応膜を被覆した水晶振動子の動的応答を記述する数理モデルを構築するため,感応膜とガス気体分子との間の相互作用の解析に基づいて気体分子濃度の包括的な変化を,①空気中における移動と拡散,②感応膜表面における吸着と脱離,③感応膜内における拡散,の3つの過程からモデル化した。これらを連続的に組み合せて、シミュレーションを行いセンサ応答との対応から有効性を確認した。
論文リストに記載して、成果を公開。また、研究室でのテーマ紹介にも、この研究内容と成果を紹介している。
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http://www2.teu.ac.jp/sugimoto/