• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

金属セパレータを用いる固体高分子形燃料電池の発電性能と腐食特性

研究課題

研究課題/領域番号 24560868
研究機関岩手大学

研究代表者

八代 仁  岩手大学, 工学部, 教授 (60174497)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード固体高分子形燃料電池 / セパレータ / ステンレス鋼 / 腐食 / 表面処理
研究実績の概要

固体高分子形燃料電池(PEFC)を構成する重要な部材のひとつであるセパレータの材料としてステンレス鋼が期待されているが,耐食性とガス拡散層(GDL)との接触抵抗の問題がある。本年度は高耐食性材料として高窒素ステンレス鋼をとりあげ,模擬環境における電気化学的評価に加えて,セパレータを試作してセル性能評価を行った。同時に接触抵抗の改善法として電気化学的窒化法を取り上げた.電気化学的窒化法では従来報告例のあった硝酸塩以外にも様々な溶液中でステンレス鋼をカソード分極処理することにより,接触抵抗変化と溶液組成の関係を調査した。
高窒素ステンレス鋼は優れた耐食性を有し,グラファイト製セパレータ使用時と同等のセル電圧維持が可能であったが,接触抵抗が大きいためiRドロップによるセル電圧損失が問題となった。そこで高窒素ステンレス鋼に対し,電気化学的窒化を試みた。
接触抵抗は硝酸塩溶液だけでなく,アンモニウム塩溶液中でカソード分極処理しても低下した.一方窒素を含まない溶液中では低下しなかった.従来硝酸イオンの還元過程で生じる原子窒素が窒化物生成に関係すると考えられてきたが,本研究結果は硝酸イオンが必須ではなく,アンモニウムイオンでも同様あるいはそれ以上の効果が起こることがわかった。一方,窒素を含まない溶液中では印加電位に関わらず接触抵抗の低下効果は認められなかった.
電気化学的窒化法を高窒素ステンレス鋼製セパレータに適用し,300時間のPEFC単セル発電試験を行った結果,未処理材に比べてより高い発電電圧とグラファイト材と比べて遜色のない電圧降下速度が観察された.この結果は不動態皮膜に由来する接触抵抗が改善されてiRドロップが小さくなったこと,および高窒素鋼の優れた耐食性が電気化学的窒化処理によって失われなかったことを示している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] ステンレス鋼の電気化学的窒化とPEFCセパレータへの応用2015

    • 著者名/発表者名
      八代 仁、横澤雄貴、呉 松竹、橋本綾子、片田康行
    • 学会等名
      材料と環境2015
    • 発表場所
      東京電機大
    • 年月日
      2015-05-19 – 2015-05-19
  • [学会発表] 単金属セパレータの腐食挙動解析に基づくPEFC内腐食環境の推定2015

    • 著者名/発表者名
      高橋圭太、横澤雄貴、八代仁、熊谷昌信
    • 学会等名
      平成26年度腐食防食学会東北支部講演会
    • 発表場所
      秋田大学(秋田)
    • 年月日
      2015-03-09 – 2015-03-09
  • [学会発表] 固体高分子形燃料電池において金属セパレータがおかれる腐食環境に関する研究2014

    • 著者名/発表者名
      高橋圭太、横澤雄貴、八代 仁、熊谷 昌信
    • 学会等名
      化学系学協会東北大会
    • 発表場所
      山形大学(米沢)
    • 年月日
      2014-09-20 – 2014-09-20
  • [学会発表] PEFC用セパレータ材料としての ステンレス鋼の特性2014

    • 著者名/発表者名
      八代 仁
    • 学会等名
      自動車技術会 燃料電池部門委員会
    • 発表場所
      自動車技術会(東京)
    • 年月日
      2014-06-13 – 2014-06-13
    • 招待講演
  • [学会発表] カソード分極処理したNi節約型ステンレス鋼のPEFC環境中での評価2014

    • 著者名/発表者名
      横澤 雄貴, 八代 仁, 呉 松竹, 熊谷昌信, 明 承澤, 片田康行, 鳥塚史郎
    • 学会等名
      材料と環境2014
    • 発表場所
      一橋記念講堂(東京)
    • 年月日
      2014-05-18 – 2014-05-18
  • [備考] 岩手大学レポジトリ

    • URL

      http://ir.iwate-u.ac.jp/dspace/

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi