研究概要 |
平成24年度は鉄基板の被覆のための処理材としてTi,AlおよびFeの粉末を用いてその混合比を変化させて表面の元素分布の制御を行った。被覆材の組成比はTi-4mol%, Al-16mol%, Fe-80mol%のものとTi-10mol%, Al-40mol%, Fe-50mol%およびTi-16mol%, Al-64mol%, Fe-20mol%の3種類で実験を試みた。レーザー加熱の条件を良好な被覆が得られるよう調整し、この3種類ともに被覆処理に成功した。組成分析の結果Ti-4mol%, Al-16mol%, Fe-80mol%被覆材を用いた被覆層のAl濃度は3~6%、Ti-10mol%, Al-40mol%, Fe-50mol%被覆材では5~12%、Ti-16mol%, Al-64mol%, Fe-20mol%被覆材では12~20%と被覆層の組成に依存してAl濃度が変化した。以上より被覆材の組成をコントロールすることによる被覆層の組成制御の可能性を見出せた。しかしながら被覆層の組成の分布に幅があり必ずしも均一に被覆できている状態ではないことが問題点として残った。このため、レーザー加熱を一度ではなく2度照射して被覆層の元素の拡散を促進させる処理を試みた。その結果、被覆層の濃度分布は改善されそれぞれプラスマイナス2%程度の広がりにとどめることができた。一度の加熱では処理材の粉末の粒径の影響が大きく、Alは3μm以下の粒径の素材であるが、Tiは25μm、Feは50μmの素材を用いているため、被覆層の組成の均一化が難しかったと考えられる。2度目の照射により不均一であった元素分布が相互拡散により均一化したと考えられる。しかしながら拡散により基盤のFeとの相互拡散も発生し、全体として被覆層のAl濃度が低下したため今後耐酸化試験等により被覆層の性能を確認する必要があることがわかった。
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