研究課題/領域番号 |
24560875
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
高橋 邦夫 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (70226827)
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研究分担者 |
ヘムタビー パソムポーン 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (00401539)
齋藤 滋規 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30313349)
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キーワード | 凝着 / 梁モデル / 毛構造 / 大変形 / 生物模倣 |
研究概要 |
複毛構造の作製法を理論と実験の両面から検討した.ナノプリント技術やMEMS積層技術に明るい技術者にアドバイスを求め,最終的には,超弾性材をろう付けと圧接により複毛化する作製方法を採用した. 試作した複毛構造を用い前年度に検討した計測システムで凝着(把持)力を測定することにより,複毛構造の合理的な設計には,凝着面における破壊のクライテリオンを明らかにする事が重要である事を示し,そのクライテリオンを実験的に明らかにし,その一般性について検証した.離脱のクライテリオンは従来の破壊力学等から推測されるものとは大きく異なっていることが明らかになった.凝着部の垂直応力だけでなくせん断応力の両方で離脱限界を整理したところ,両者を用いることで,破壊のクライテリオンをより一般的に表せる可能性を示すことができた. 一方,理論的なアプローチとして,解析解の求められる弾性梁近似によるモデルの妥当性を検討した.大変形を考慮した数値計算に基づく凝着理論計算を行い,弾性梁近似と比較検討した.具体的には,大変形を許容した梁を1次元要素の連続体とみなした差分モデルを数値的に計算できるシステムを完成させた.その結果の妥当性は,特殊な条件で解析解が楕円積分を用いて表せることで確認した.その結果,弾性梁近似モデルは,傾斜角30程度の毛構造まで,定量的に良い近似となっていることを示した.把持デバイスの合理的な設計に対して,解析解の有用性は数値解析解に比べ,遥かに高い.解析解の適応範囲を示せたことで,合理的な設計に有用なツールとなることを示すことができた.断面2次モーメントと弾性率の分布をもつような梁の場合は,数値解析を利用することができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試作したシステムを検討した結果,設計に有効な離脱のクライテリオンを明らかにでき,また,数値計算による適応範囲の広い計算手法と,解析解による汎用性の高い計算手法を完成させ,それらの有効範囲も明確にできている.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き,試作した複毛構造を用い,試作した計測システムで凝着(把持)力を測定する.また,理論的な検討も加える.脱離のメカニズムについて,より詳しい検討を行う.特に特に梁の形状,サイズ,回転角等のジオメトリーと材質が脱離メカニズムに与える影響を定量的に明らかにする。
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