研究課題/領域番号 |
24560878
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
才田 一幸 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30178470)
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研究分担者 |
森 裕章 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10294026)
荻原 寛之 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80455279)
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キーワード | 拡散接合 / 水素拡散誘起変態 / チタン / ジルコニウム / 組織解析 / 水素化物 / 接合後熱処理 |
研究概要 |
チタンおよびジルコニウムの低温精密接合技術として、水素によるβ変態温度降下を利用して接合部を局部的に低温β変態させることにより無変形接合を達成する全く新たな接合方法(水素拡散誘起変態を利用した低温精密接合法)を提案・開発することを目的とした。本年度は、接合性の評価および接合部の組織観察を実施した。水素添加したチタンおよびジルコニウムの接合性に及ぼすプロセスパラメータの影響を調査するとともに、接合部の組織的特徴を明らかにした。 水素チャージしたチタンを固相拡散接合したときの接合部組織を調査した。水素チャージ時間100ksの場合は接合界面においてボイドが多少見られたが、水素チャージ時間300~500ksでは750~800℃の接合温度において接合界面を横切る結晶粒の成長が認められた。また、600℃×0.6ksで接合した接合界面近傍では、鋸歯状α組織が観察されたことから、接合過程で接合界面近傍のみがβ変態したことが推察された。接合界面付近における水素化物の析出を抑制するために接合後熱処理を施した。熱処理時間の増加とともに水素化物の析出は減少し、硬さ分布も均一化することが明らかとなった。 一方、水素チャージしたジルコニウムに対して接合温度800℃にて固相拡散接合を行った。水素チャージ時間100ksおよび300ksを施した試験片に対して800℃×0.6ksの条件で接合を行ったところ、水素チャージ時間100ksの場合は接合界面においてボイドが多少見られたが、水素チャージ時間300~700ksでは接合界面を横切る結晶粒の成長が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画で策定した検討項目は、すべて遂行することができ、おおむね望ましい実験結果が得られている。特に、水素チャージによる接合面での低温β変態の確認と接合界面を横切る結晶粒の成長が認められたことは、今後の研究に大きな意義があるものと言える。このことから、現在までの研究の達成度は、ほぼ100%であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策としては、当初計画の通り、接合継手の機械的特性および耐食性ついて検討を加える予定である。検討項目は、接合継手の機械的特性および耐食性に及ぼすプロセスパラメータの影響であり、従来接合法による接合継手特性と比較検討することにより、本接合法の優位性を明確にする計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
予算執行の端数が残額として生じたため。 翌年度分の物品費に充当する。
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