電子セラミックス薄膜への高速表面熱処理による誘電率向上の実証 ・平成24年度に設計・試作した半導体レーザによるフレキシブルラインビームシステムを用い、100μm厚の銅基板上にAD法により形成した5μm厚のチタン酸バリウムのアニーリング実験を行った。 ・従来の半導体レーザによる楕円形ビームを用いた実験では、電気炉による773K、30分の加熱と同等の誘電率向上には、パワー密度を増加しても100mm/sの走査速度までしか達せず、パワー密度を増加させても50%程度までしか改善しなかったものが、2倍の200mm/sにおいても30分の電気炉加熱同等の誘電率向上が可能となり、300mm/sにおいても80%程度までの誘電率向上が実証された。 ・熱加工シミュレータを用いて計算した結果、基板裏の最高到達温度は533K程度と予想され、電子部品に与える許容温度以下であると推定された。これらにより、AD法により形成されたチタン酸バリウム薄膜の誘電率を、電気炉加熱に比べてはるかに高速に実現できることが実証された。これらの結果をレーザー学会学術講演会第34回年次大会において発表した。 ・実験中に半導体レーザの予期せぬ故障が発生したため、修理を行った。原因は光ファイバーの融着部の不良が原因と推定されたため、融着プロセスの改善を行った。現在、ビームプロファイルをさまざまに変化させてその影響について検討を行っている。また、フレキシブルラインビームシステムの優れた加熱特性をさらに他の分野へも応用することを検討している。
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