本研究の目的は超小型固体酸化物型燃料電池(SOFC)に用いられるセラミックスチューブを超塑性ダイレス引抜きによって創製することである.本年度に行った内容は主に下記の点である. (1)超塑性ダイレス引抜き装置の改良:前年度の実験結果をもとに,より高効率の超高温加熱が可能なアセチレンと酸素を組み合わせたバーナーを使った超塑性ダイレス引抜き装置のさらなる改良を行った.その結果,さらなる高温域(1700℃超)を実現できるようになった.また予備実験として回転ステージによる周方向の温度の均一性を金属管を用いて検証した. (2)多段階超塑性ダイレス引抜き実験:前年度の実験をもとに良好な超塑性特性を有する3Y-TZPチューブ(外径6mm,内径4mm)に対して超塑性ダイレス引抜き実験を行った.その結果,1700℃の加熱域で1パスの断面減少率にして84%を実現できることがわかった.また引抜き速度が限界断面減少率に及ぼす影響を調査し,引抜き速度の増加に伴い,引抜き限界が低下することがわかった.また超塑性ダイレス引抜きを繰り返すことによって,外径6mmの素管から外径2mmのセラミックス細管の創製に成功した. (3)超塑性ダイレス引抜きによって創製したセラミックスチューブの特性評価:超塑性ダイレス引抜き後の表面観察と粗さ測定を行った.その結果,ひずみ速度が高い供給速度が速い条件では表面にクラックが形成され,表面粗さも大きくなることがわかった.引抜き速度を遅くすることでクラックの形成を抑制できることを明らかにした.また引抜き後の横断面形状を観察した結果,セラミックスの超塑性ダイレス引抜きにおいても幾何学的相似則が成立していることがわかった. 以上の結果から,本研究で提案した超塑性ダイレス引抜きによるセラミックチューブの細管化が有効であることがわかった.
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