研究課題/領域番号 |
24560894
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
藤間 卓也 東京都市大学, 工学部, 准教授 (40392097)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高分子電解質ブラシ / ナノ摩擦 / 分子運動論 / 走査型プローブ顕微鏡 |
研究概要 |
本研究は、高分子電解質ブラシ(PEB)表面における低摩擦性のメカニズムを分子論的に解明し、その摩擦挙動を制御可能とすることを目的としている。研究課題初年度にあたる平成24年度においては研究実施計画に沿って、走査型プローブ顕微鏡(SPM)による横振動摩擦力顕微鏡(LM-FFM)により、力学的複素応答スペクトルの測定系構築を行った。 具体的には、まず本研究助成によって新規導入したシグナルアクセスモジュールを用い、SPMへ任意の摺動波形の入力と、これに対する摩擦力応答波形の実時間測定を行った。これにより、LM-FFMシステムのロックインアンプを回避し、摩擦挙動に関する情報の詳細を直接取り出すことが可能となった。 このように構築した測定システムにより、入力として正弦波を用い、サブHzから30kHzまでの広い周波数帯域においてポリスチレンスルホン酸ナトリウム(NaPSS)ブラシ上でのナノ摩擦における複素応答スペクトルを得ることができた。 その結果、PEB層内におけるイオン濃度が十分に高いブラシについては、摩擦挙動が周波数に対しては鈍感であるのに対し、振幅によって劇的に変化することが明らかとなった。すなわち、振幅の小さい条件においては線形応答を示すのに対し、大振幅条件においては正弦波入力に対して矩形波的な非線形応答を示す。 また、入力に矩形波を用いた多周波同時測定についても試み、前述の周波数領域測定と同等の結果を得たため、現在、精度等の検証を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時の研究目的に対して、初年度には測定システムの構築と、摩擦応答の分子量・摺動振幅・摺動周波数依存性を測定することを計画しており、上述の通り、これらについて実験的な知見をえることに成功している。分子量や振幅への依存性については、さらに詳細な実験を行う予定であるが、多周波同時測定など、当初計画よりも発展的に進行している点もあり、全体として本研究課題は概ね計画通りに進行している。 平成24年度に得られた上記の知見は、本研究課題において、ナノ摩擦応答の挙動と共役となると考えられる高分子鎖の分子運動を明らかにし、摩擦メカニズムを解明する重要な手がかりとして非常に有用である。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請時の計画に従い、PEBのグラフト密度および電荷密度に対する摩擦挙動の変化を明らかにしていく。これらの知見と前年度に実施した既述の結果より、PEB上における摩擦挙動のメカニズムを、ブラシ内の高分子鎖の分子運動性から解明していく。また、依存性を明らかにした各パラメータについて、摩擦挙動を記述する特性方程式の導出を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費について、物品としては引き続き試料を作製するための化学薬品類、器具類および消耗品である測定用カンチレバーを購入する必要があり、また、成果を公表するための国内外学会への参加・発表および論文投稿等の費用を要する。 昨年度については、研究を進める中で、測定用カンチレバー等の消耗品に関し、次年度に購入すべきという判断をしたため、残額が生じた。本年度は当該品購入額を含めて支出する予定である。
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