本課題では、水中で強く伸長した高分子電解質(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム:NaPSS)ブラシについて、SPMを用いた摩擦応答特性を詳細に調べ、その低摩擦性の分子論的解明を目的とした。その結果、小振幅領域では摺動振幅に比例して摩擦力が増大し、ある値を超えると不連続的に摩擦力が下がるとともに振幅に依存しなくなる挙動が明らかとなった、これにより、強く伸長した高分子鎖の先端が摺動対象を点支持するとともに吸着し、摺動距離が小さい場合は吸着したままたわむことで高分子鎖の横弾性が、摺動距離が大きいときは支持点の吸着脱離力が、摩擦力としてはたらいていることが示唆された。
|