合金元素の影響により接合界面に脆い金属間化合物層が生成する異種金属の組合せにおいて,接合界面での脆化を抑制可能な異種金属接合法について検討し開発を行った. 本研究では高比強度材料のチタンやマグネシウム等の合金を対象に,YAGレーザおよびTIGアークを用いて母材を局部的に溶融し,また,細線等を使用して純金属を添加することにより,母材組織を異種金属接合に適した状態に事前に改善した.その後,低入熱量で接合可能な摩擦攪拌接合法(FSW)を用いて,元素添加部を異種金属と接合することにより,接合界面に生成する金属間化合物層の厚さを抑制することが可能であることを明らかにした. 平成26年度は平成25年度までに得られた知見を基に,以下について研究を実施した. 1.【元素添加による母材組織の改善効果】YAGレーザおよびTIGアークを用いての溶融における母材の組織変化,添加元素と母材合金元素との反応,および,これらによる母材組織の改善効果について比較を行い,効果の高い元素添加法を用いることで,アーク溶接法による元素添加による組織改善効果について詳細に検証し,その生成相と組織変化について明らかにした. 2.【異種金属接合界面の微細構造へ及ぼす効果の検討】溶融による元素添加を行ったマグネシウム合金とチタンとの異種金属接合界面について,走査型電子顕微鏡(SEM),透過電子顕微鏡(TEM)を用いた微細構造の観察,元素分布と生成相の検討,また,電子線回折による相の同定を実施し,元素添加による接合界面の微細構造変化と,接合界面組織の改善効果について明らかにした.
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