ビーズミル法と高圧ジェットミル法を複合化することで、従来困難であったセラミックス粒子の微細化技術を向上させたことと、その微粒子を応用した材料開発を行った。 アルミナなどの粒子をビーズミル法と高圧ジェットミル法の2種類によって微細化し、それぞれの処理法の特性を明らかにした。その後、上記プロセスを複合化した処理を行った。それによって、ビーズによって発生した細かな亀裂を起点とした微細化ができたことと、高圧ジェットミル処理は、粒子の形態を球状に近づける効果があったことを示した。さらに、この微細化処理過程を明らかにするため、プロセスのモニター装置を考案した。そこで得られた知見から、その主要な部品である高圧ノズルの改良で、微細化特性を大幅に向上させることができた。 作製した粒子を応用した材料の作製では、焼結膜・材料の作製と、粒子をαアルミナ膜の結晶化のためのシード層への応用を検討した。アルミナ焼結膜では、粒子形態制御の効果により、低い焼結温度でも粒子間の隙間の少ない緻密な膜が作製できた。チタンとバナジウムの炭化物粉体などの放電プラズマ焼結(SPS)においても、この効果により低温で焼結が完了し、硬く優れた摩耗特性を示す材料が作製できた。シード層としての応用の検討では、反応性ガスフロースパッタ法にてアルミナ膜の作製を行った。ここでは、電源をパルス駆動するこでとで、極性反転時のバイアス効果により、膜質の改善が起こったことと、従来のスパッタ法に比べて、単位電力当たりの膜堆積速度が非常に大きくなったことを示した。その膜を用いて、作製した微粒子をシード層とした場合の結晶成長に及ぼす効果を調べた。アニールによる結晶化特性を検討した結果、シード層がある場合、α相への相転移温度が下がり、膜の結晶配向性も良くなった。基板材料の検討も行った結果、ビッカース硬さ2200のアルミナ膜を作製することができた。
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