研究課題/領域番号 |
24560905
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
及川 勝成 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70356608)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 磁歪材料 / 単結晶 / 結晶方位 |
研究概要 |
マイクロ引下げ用高周波炉を用いて,デバイスサイズの超磁歪単結晶を高速に育成するための最適条件について検討した.カルシアルツボを使用し,マイクロノズル径2mm, Ar+5%H2雰囲気,引下げ速度0.5mm/minで結晶を育成した.約150mmの結晶がえられた.結晶の長手方向の成分偏析度をEPMAで測定した結果,Fe, Tb, Dyの組成は,平均組成から数%ずれているだけであり,成分的に均一な組成の結晶を得ることに成功した. また,アルミナルツボを用いて,同様の条件で結晶育成を行い,約150mmの結晶を得ることに成功している.この結晶についても成分偏析度を調べたところ,長手方向には,均一であったが,断面内では,外側と内側にも数%の組成差があるとともに,Alが2~4%確認された. これらの結晶の磁歪を測定したところ,カルシアルツボで作製したものは,良好な磁歪特性を示したが,アルミナルツボで作製したものは,磁歪特性が劣化していた.また,ミクロ組織を幾つかの断面で観察したが,結晶粒界はみられなかった.更に,TEMで組織観察を行ったが,双晶もみられず,単結晶であることが確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
超磁歪合金の単結晶は,カルシアルツボ,アルミナルツボの両方で得ることができたが,磁歪特性ということでは,不純物が少ないアルミナルツボが適していること明らかにできた.また,引下げ速度を変えた時,まともの形状の結晶が得られたのは,0.5mm/minだけであり,他では,結晶のブレイクアウトが生じてしまった.また,雰囲気は,Arだけでは,酸化がするためか,引抜くことができなかった.以上のように,超磁歪単結晶を得るための基礎的な育成条件は明らかにすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
磁歪特性の優れた結晶をえるために,Ti, Zrなどの添加元素の効果を調査する.まず,結晶の育成条件を明らかにするとともに,添加元素の量を種々変えた結晶を育成し,組織学的な変化,磁性的特性の変化を調査し,その影響について明らかにするとともに,最適な添加量を見つける.
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次年度の研究費の使用計画 |
小さな結晶の精密な切断を行うために,精密切断機約30万円を購入する予定である.
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